私は怒りで我を忘れた。
ヒカル会長に馬乗りになり、ボタンの取れたシャツの隙間から手を入れる。
何が起こったのか理解できずフリーズしている彼。
そのへそピアスに指先を這わせた。
指先を徐々に上へと滑らせる。
ようやく状況を把握した会長が暴れるように身体を
よじる。
それをすかさず両手で抑え込む。
暴れるヒカル会長の顔はみるみる内に赤く
染まっていく。
食い入るように首筋に顔を寄せ、ツウと指でホクロをなぞった。
それはまるで星空の下、星座を眺めるような夢心地。
首まで赤く染めた会長の腕を床に縫い止め、
じっと潤んだ目を覗き込んだ。
ボッと音が聞こえそうなくらいに極限に真っ赤になったヒカル会長は私を突き飛ばした。
後ろに突き飛ばされた私は尻もちをつき、
我にかえる。
目の前には必死で身体を隠し小動物のように
震えるヒカル会長。
真っ赤な顔で目に涙を溜め、こちらを睨んでいる。
逮捕から収監まで、近い未来の光景が頭によぎる。
伸ばした手は弾かれる。
ドガンッ!!
突然教室のドアを蹴破って入ってきたのは遊佐くん。
私達の状況をじっと見つめ、
状況が読めないといった表情。
徐々に深くなっていく眉間のシワが、遊佐くんの混乱を物語っている。
そう言って会長は遊佐くんを睨み、真っ赤な顔で教室から飛び出そうとする。
とっさに手首を掴み引き止めると、掴んだ手首からみるみる真っ赤になっていく。
耳まで赤くしてこちらを睨んだかと思えば、手を振り払い彼は教室を出ていった。
生徒会室に残された遊佐くんと私。
やっぱり遊佐くんの顔を見るとモヤモヤが復活し、重い空気が流れる。
思わず叫んでいた。
驚いた顔で私を見つめる遊佐くん。
何故か惨めになり、涙が滲む。
するとこちらに近づく足音が聞こえる。
どうやら先生のようだ。
遊佐くんは私の手を掴み、近くにあった狭いロッカーの中へと引きこむ。
ロッカーの中、私と遊佐くんの二人きり。
すれ違う心に反し、カラダはギュウギュウに密着。
そしてすかさずスケベ心が騒ぎ出した。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。