第11話

セクシーモデル遊佐くんのお尻
5,445
2018/12/14 09:33


息が止まるかと思った。

近すぎる距離と、まっすぐこちらを見つめる遊佐くんの瞳に囚われていた。

遊佐
遊佐
お前、雨に気づくのおせーんだよ!
心美
心美
へ? 雨?

遊佐くんはすっと私から離れ、
取り込まれた洗濯物を指差した。

遊佐
遊佐
陸と渚の体操服! あいつら明日体育なんだよ。ったく、乾燥機いきだな
心美
心美
ご、ごめん
心美
心美
(……キ、キスされるかと思った。
私、なんて都合のいい解釈を!!)

って、待って。 そんなことより!
心美
心美
遊佐くんってモデル―――

すると部屋の中から子どもたちの
大きな歓声が上がる。
 
みんな大画面の4Kテレビに夢中だ。

陸
お兄の尻!!
渚
お兄のお尻だ!!

男性用下着のCM、
それは何度も見たことのあるritoリトのお尻だ。

私が見間違えるはずのないお尻。

心美
心美
や、やっぱり!!!
遊佐くんがritoなんだ!!

叫んだせいで子どもたちが振り返った。

遊佐くんは私を見て、
面倒が増えたと言わんばかりに眉間を抑える。

心美
心美
(さっきは精一杯だったけど、憧れの
ritoが目の前にいるんだ……)
スケベ心
スケベ心
お尻! 
そこに夢にまで見たお尻があるぞ!!

騒ぎ出すスケベ心とともに、私の息も上がる。
そして自然と目線は遊佐くんのお尻へ――。

スケベ心
スケベ心
お尻~だ、どっこいしょ♪ 
お尻~だ、どっこいしょ♪

お尻音頭でスケベ心達が輪になって踊りだす。

お祭り騒ぎの脳内はお尻のことでいっぱいだ。
心美
心美
遊佐くん、いや、rito様!! 
お、お尻を―――っむぐ!!

大きな手で口を抑えられ、
今までにないくらいの満面の笑みを向けられる。
心美
心美
(笑顔なのに…怒ってる?!)
遊佐
遊佐
今、なんて言おうとした?
心美
心美
んぐぅーーー
遊佐
遊佐
お尻? お尻を……何だって? 
あいつらが見てる前で言ってみ?

子どもたちは興味津々でこちらを見ている。


口から手を離した遊佐くんは、
言ってみろと首をかしげる。

心美
心美
(い、言えるわけない!!……お、お尻を触らせて下さいなんて!!)
心美
心美
(バカバカ私、変態セクハラ発言するところだった……。それもいたいけな子ども達の前で!)
心美
心美
……な、なんでもないです
遊佐
遊佐
へぇ〜?

楽しそうに笑った遊佐くんは私の額を
コツンとこづいて―――。
遊佐
遊佐
晩飯食べてけよ
その後、俺の部屋で話がある

そう耳元で囁いた。


ドキドキドキ…

話ってなんだろう。

ドキドキドキ………


この後が気になって、せっかくの晩御飯は味わえず、気がつけば遊佐くんの部屋にいた。


洗練された上品な家具、遊佐くんのクッション、
ハンガーにかかる遊佐くんの脱いだ制服、そして部屋中に香る遊佐くんの匂い!!
心美
心美
(ス――――!!!ここは……天国?
この空気、袋に詰めて……)


目一杯吸い込んで、はっと我に返る。

この部屋は誘惑だらけだ!!
それなのに、かれこれ10分程一人で待たされている。


そして一番気になるのは部屋のど真ん中に置いてある大きなベッド。


ごくり。
心美
心美
(……ふっかふかだ。いつも遊佐くんがあそこで寝て……)
スケベ心
スケベ心
わっしょ―――
心美
心美
(ダメ!!)

出てこようとするスケベ心をひたすら
抑え込むのも限界だ。

とりあえず部屋の隅っこに移動する。
遊佐
遊佐
なーんだ。何もしないんだ


ドアの隙間から覗いていた遊佐くんが
残念そうに部屋に入ってくる。
心美
心美
ちょっと! 試したの?
遊佐
遊佐
だってお前見てると面白いから。
ってか、座れば?

そう言って遊佐くんは広いベッドを指さした。
心美
心美
いいえ?! 
ここが落ち着くので大丈夫です!!
遊佐
遊佐
は? 大事な話なんだけど。
そんな隅っこで聞く気ある?

怒ったような口調で私に詰め寄る遊佐くん。

強引に私の手首を掴み、その手をあろうことか彼のお尻へと持っていく。
スケベ心
スケベ心
わっしょーーい!!
心美
心美
え?! 遊佐くん?!
遊佐
遊佐
俺の父親さ、
あんまり家に帰ってこないんだよね
心美
心美
え、ちょ、手がお尻に
遊佐
遊佐
だからお前、放課後はうちの家政婦になってくんね?
心美
心美
へ?
遊佐
遊佐
いいよ、触りなよ、ほら!
スケベ心
スケベ心
お尻~だ、どっこいしょ♪ 
お尻~だ、どっこいしょ♪
心美
心美
……喜んで!!!


むぎゅ。


鍛えられた筋肉の弾力と引き締まった丸み。

手のひらから伝わる情報の処理が追いつかず、
鼻血がどばっと溢れ出した。


プリ小説オーディオドラマ