最初に視界に入ったのは、見知らぬ天井だった。
作業でもしていたのであろう、隣の机に座っていた少女がくるりとこちらを向く。
制服からしてもう1人の高専の子だろうか。
よくよく見れば、タバコをふかしている。
同級生は不良しか居ないのだろうか。
そう言うと、私の寝ているベッドの前にすっと立つ。
そうだ。私は転入生なんだ。
色々ありすぎて実感がなかったが、改めて実感する。
ああ、こんな感情に浸ってる暇はない、こちらも名乗ろうと口を開こうとした時、
ガンッという音と共に一気に部屋が騒々しくなる。
彼らはドアを開けるという行為を知らないのか。
2人はズケズケと硝子の部屋に上がり込むと、我が物顔で準備を始めていく。
あとせめてノックくらいはしろ。と、硝子が2人をこづくが、彼らに聞いている様子はない。
そして、急展開過ぎていろいろとついていけない。
急に話を振られてびっくりするが、
実際言われるとお腹がすいてくる。
無理すんなよ。という硝子の言葉を背にそろそろと輪に加わる。
お腹はへっているのだ。ならば食べないという選択肢はない。
そういい夏油がケラケラと笑う。
気づくと、みんなもう机に乗ったピザを囲んでいる。
その言葉を皮切りに、どんちゃん騒ぎが始まった。
そのままみんなで寝落ちして、初日から夜蛾先生に怒られる羽目になったのは言うまでもない。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。