第114話

飛び交う粒子弾
121
2023/08/14 15:39



 マンダレイサイド




 あなたちゃんが動けなくなった……!



 とりあえず、伝えないと……!




マンダレイ
《みんな!》
マンダレイ
《ヴィラン3名襲来。他にも複数ある可能性あり》
マンダレイ
《動けるものは直ちに施設へ》
マンダレイ
《会敵しても決して交戦せず、撤退を!》
マンダレイ
《ヴィラン連合の目的の一つは爆豪くん!》
マンダレイ
《爆豪くんは優先して施設へ!》




 これで、伝達は大丈夫。




 あとは……洸太!




緑谷出久
マンダレイ!僕、わかります!



 しかし、それを否定するかのようにあなたの粒子弾が緑谷の背中を反対方向に押す。


緑谷出久
もしかして、違うの?


 そう言うと、ピョンと上に跳ねてゆっくりと飛んで行った。


緑谷出久
ついてきて欲しいの?



出水洸太
ヒッ……!



 蒼炎と煙がよく見える崖で、小さな男の子、洸太くんは1人のヴィランに遭遇していた。


資料にない顔だな……おいガキ、爆豪勝己って奴はどこにいるか知っているか?

出水洸太
……ぇ、ぃや、パパ……ママ……!

しらねぇ、でいいよなぁ?
んじゃ、遊んでくれよ!



 洸太はじっと目を閉じて、衝撃を待っていた。



 しかし、いくら経っても衝撃は来ない。


出水洸太
……ッッ!!



 目を開けてみれば、見たことのある青い塊がヴィランの拳を受け止めていた。


んだよ、これ!



 そして、小さな塊が洸太の服を掴み、そのまま崖を飛び出した。


出水洸太
うわぁァァァッッ!!


待て!ガキ!



 洸太は青い塊……粒子弾によって危機を脱した。



 



 B組の1人を背負った轟と爆豪は、ゴール地点を避けて施設へ向かっていた。




轟焦凍
……お前が狙われてるとはな
轟焦凍
施設へ急ごう


爆豪勝己
指図すんじゃねぇ……!



 2人が道中で話していると、目の前に人影が見えた。




 そして、その先にはちぎれた腕があった。




あぁ、見惚れてた……仕事しなきゃ……


爆豪勝己
交戦すんなだぁ?





 
障子目蔵
マズイ……!どうにかしてこいつをどうにかしないと……




 彼の目の前には、大きな闇の塊。




 




 いや、闇の力によって凶暴化した常闇だった。




 障子の複製腕がヴィランによって切られ、それがトリガーとなり、暴走してしまったのだ。





常闇踏陰
グワァァァァァァッッッ!!!!
障子目蔵
……どうする?




 その時、青い何かが隣を横切った。




 
障子目蔵
ッッ!!


障子目蔵
あなたの粒子弾!?


 動く粒子弾は常闇の周りをクルクル回り始めた。




 それに向かって、ダークシャドウは攻撃を繰り返すが、実態はなく、ダメージは皆無。




常闇踏陰
グオオオォッッッ!!!


 粒子弾は違う方向へと飛んでいき、それをダークシャドウは追いかけていった。



障子目蔵
……あいつはどうするんだ?


 そう考えていると、障子は隣にいる粒子弾に気づいた。




 その粒子弾は障子の周りを回り、ダークシャドウが進んでいった方向へゆっくり飛ぶ。




障子目蔵
ついていけってことか?



 粒子弾は頷くようにぴょんぴょんと跳ねた。



障子目蔵
わかった



 そして、爆豪たちとの合流を目指す。





常闇踏陰
グオオオォッッッ!!!



 常闇は暴れていた。



 ドゴオオォォンンン!!!



 ダークシャドウが森を破壊する。




爆豪勝己
轟焦凍


 その音に気づいた爆豪と轟は、何事だと攻撃してくるヴィランに目を向けながらも警戒した。




 やがて、視界に暴れるダークシャドウが現れ、相対していたヴィランを踏む。



轟焦凍
常闇か。俺の炎で……、



 しかし、爆豪は轟の前に腕を出した。



 その目は何かを期待するかのような目だ。



爆豪勝己
待ちやがれ……見てぇ


その子たちの肉面を見るのは、僕だあぁッッッ!!!



 横取りされたように思って怒ったのか、ヴィランはダークシャドウに刃を伸ばして攻撃するが、実体がないダークシャドウには意味がない。



常闇踏陰
黙れ、三下がァァッッ!!!



 ヴィランの胴体を掴み、森ごと薙ぎ倒していく。



 その攻撃を受けたヴィランは一瞬で気絶した。




 そして、爆轟の爆発と轟の炎がダークシャドウに向かう。



常闇踏陰
キャンッ



 ダークシャドウがおとなしくなり、常闇は荒くなった息を整える。



爆豪勝己
テメェと俺の相性が残念だぜ

常闇踏陰
ハァ…すまない、助かった


障子目蔵
大丈夫か!常闇!

常闇踏陰
障子……!


轟焦凍
とりあえず爆豪が狙われている今、ゴール地点を避けて相澤先生たちがいる施設に向かう方が得策だ
轟焦凍
ヴィランは障子の索敵能力で索敵してくれ
轟焦凍
とりあえずお前、真ん中歩け


爆豪勝己
俺を守るんじゃねぇ!!

障子目蔵
行くぞ
爆豪勝己
無視すんな!
轟焦凍
ちゃんとついてこいよ
爆豪勝己
命令すんな!


蛙吹梅雨
お茶子ちゃん、腕大丈夫?
麗日お茶子
うん、掠っただけ



 
トガヒミコ
浅い、少ない



 2人の前に現れたのはトガヒミコだった。



トガヒミコ
2人ともカァイイね〜
麗日さんと蛙水さん



 体育祭ですでに名前がバレてしまっている。



トガヒミコ
お仕事終わらせないといけないから、刺すね



 すると、トガの周りを粒子弾が回り始めた。




麗日お茶子
あなたちゃんの……?



 
トガヒミコ
何です?邪魔しないでください



 そう言って粒子弾に向けてナイフを突き立てるが、実体が無いため、手応えがない。



トガヒミコ
もういいです


 そう言って意識を麗日たちに向け、ナイフを投擲する。



 カキンッ!



 蛙水が舌を使って麗日の体を引っ張るよりも先に、粒子弾がナイフを弾いた。



みんな
ッ!


麗日お茶子
守ってくれてる……
蛙吹梅雨
凄いわ、あなたちゃん……

障子目蔵
麗日?蛙水?





 その時、茂みから施設に向かっていた障子の声が聞こえた。



蛙吹梅雨
障子ちゃん!?みんな!


 トガはその場からバックステップで離れた。

トガヒミコ
人が増えたので殺されるのは嫌だから、バイバイ……



 そして、離れていった。


轟焦凍
何だ、今の女?


蛙吹梅雨
ヴィランよ



 その時、反対の茂みの方からおーいと呼ぶ声が聞こえた。



緑谷出久
みんな!大丈夫?



 粒子弾に導かれた緑谷だ。


轟焦凍
緑谷!
障子目蔵
なんで、ここに?


緑谷出久
あなたくんの粒子弾に案内されて……
轟焦凍
……そのあなたは?


緑谷出久
実は……


 緑谷は広場での出来事を話した。



 
轟焦凍
あなたが……!?
緑谷出久
あなたくんは前から様子おかしいかったし、わかっていたのかもしれない……


 緑谷が思い浮かべたのは職場体験での出来事だった。



 悩み事があるかのような顔をしていた時に聞いてみたら、トラウマを思い出したかのように拒絶し、同じようなお願い事をしていた。



 そして、白衣を着た男性が"魔法の言葉を教えた"と言っていた。



 過去にその男性に会い、トラウマと魔法の言葉を植え付けられたとしたら……。




 そこまで考えていたら、轟に声をかけられていたことに気がついた。



轟焦凍
緑谷、とりあえず俺たちは爆豪を護衛しながら、施設へ向かっている
轟焦凍
とりあえず、施設まで行こう


蛙吹梅雨
ケロ?爆豪ちゃんを護衛?
蛙吹梅雨
その爆豪ちゃんはどこにいるの?



 轟たちは後ろを振り返った。



 そこに爆豪と常闇の姿がなかった。



みんな
ッッ!!


彼なら俺のマジックでもらっちゃったよ

 そう言って手のひらにあるビー玉を転がした。


もっと輝ける舞台へ俺たちが連れていくよ



緑谷出久
くっ、返せ!
返せ?妙に話だぜ
爆豪くんは誰のものでもねぇ
彼は彼自身のものだぞ、エゴイストめ


轟焦凍
どけ


 轟は静かにそう言い、ヴィランに向けて大氷塊を作った。




 ドゴオオォォンンン!!




 簡単に森が氷に覆われる。


我々はただ凝り固まってしまった価値観に対し、それだけじゃ無いよと道を示したいだけだ
今の子らは価値観に道を選ばされている


障子目蔵
常闇もいないぞ!
 
元々エンターテイナーでね
彼はアドリブでもらっちゃったよ


 そう言って手のひらにあるビー玉が一つから二つに増えた。


緑谷出久
この野郎!もらうなよ!


 轟は背中に乗せていた生徒を麗日に渡して先ほどよりも大きな大氷塊を放った。



 捕まえたと思ったが、上から降る声に気づいて思うようにいかなかったと思った。


悪いね!
俺は逃げ足と欺くことだけが取り柄でよ
ヒーロー候補生なんかと戦ってたまるか

開闢行動隊、目標回収達成だ
短い間だったが、これにて幕引き!
予定通り5分以内に回収地点へ向かえ!


轟焦凍
絶対逃すな!




 数分前



 チェンソーのような駆動音に近くにいたB組の1人と八百万は固まった。



八百万百
チェンソー?



 その時、茂みから大きな影が飛び出した。


脳無
キエェェェッッッ!!!


2人
脳無!


 そして、手に持つチェンソーを2人に向かって振り下ろそうとした時に。



2人
ッッ!


 ヒュンッと青い塊が飛んできたかと思えば、盾のように大きく展開した。




 それはあなたの粒子弾である。



八百万百
あなたさん……!
とりあえず逃げるぞ、八百万!



 その時、八百万の前に一つの粒子弾がぴょんぴょん跳ね出した。



八百万百
(?何か伝えたいことが……?)
八百万百
(最悪を免れるためには……)


 八百万は拳を握り、『創造』を使う。




 作ったのは小さなGPSである。


八百万百
これを脳無につけてください


 粒子弾は意味がわかったようで、GPSを受け取り、脳無の体に近づいて取り付けた。



行くぞ!
八百万百
はい!



 
龍拘
龍拘
久しぶりですねぇ、15番


(なまえ)
あなた
なんでッ、あなたが……


龍拘
龍拘
もちろん、あなたに用があったからです
龍拘
龍拘
さて……あなたの望み通り、貴方と爆豪くん以外には手を出さないようにさせましょう



おい!どういうことだ、龍拘!
龍拘
龍拘
そのままの意味ですよ
龍拘
龍拘
ヴィラン連合の目的を忘れたのですか?


……

龍拘
龍拘
それでいいのです


龍拘
龍拘
さて、15番
 
(なまえ)
あなた
ビクッ
 

龍拘
龍拘
まずはその邪魔な目隠しと男装を解きましょうか
 
(なまえ)
あなた
……
 
龍拘
龍拘
ですから、貴方がダークとしていられる材料を取りましょう
 
(なまえ)
あなた
や、ヤダァッッ!!龍にぃ…ッ!
 
龍拘
龍拘
嫌ですか
龍拘
龍拘
『拘束』対象の目隠しと男装



 ヒュンッ!



 そんな音と同時にあなたの目隠しと男装が解けた。



 目隠しと男装に使われていたサラシは彼女の目の前に落ちている。



(なまえ)
あなた
や、らぁッ、なん、でぇ……
 
龍拘
龍拘
さあ?何ででしょう、ね!


 龍拘は拳を握って、あなたの顔面を殴る。



 ドンッ!



 
龍拘
龍拘
なぜ、貴方は生きているのでしょうね!
龍拘
龍拘
奴隷のくせに!価値が血しかないお前が!

(なまえ)
あなた
ウゥ…ッ、やぁ……



 今のあなたは個性も発動せず、ただ顔の前に両手を掲げ、ガードしているが、龍拘になすすべもなく殴られている。



マンダレイ
あなたちゃんッ!
させねぇよ!

龍拘
龍拘
早く来なさい、15番
龍拘
龍拘
貴方が来ないとヒーローは疲弊していくばかりですよ


ピクシーボブ
あなたちゃん!ダメ!行ったら……


(なまえ)
あなた
みんなにッ、手を出さない、なら……

マンダレイ
ピクシーボブ



龍拘
龍拘
ふふ、それでこそ我が奴隷です



龍拘
龍拘
引きますよ。先ほど、爆豪くんが手中に収まったとの報告が来たようですし
龍拘
龍拘
さっさと向かいましょうか


はぁ……だってよ
次は粛清するからな、偽善者!
子猫ちゃん怪我できなかったのは悲しいけど、新しい子猫ちゃんも可愛いね



 BOM!!



 龍拘の持っていた煙幕弾が地面で割られ、辺りを煙が覆っていく。



 
マンダレイ
ゴホッ、ゴホッ、あなたちゃん……!



 既に、あなたたちの姿はなかった。



優
うぇーい!
優
夏休みの宿題終わらないぜ☆
優
だったら、小説やめなさいって所だけど、書きたい欲がらあるんだよ!


優
次回予告!
優
集合地点に連れてこられた爆豪と常闇とあなた
優
着々と誘拐の手順が進む中、あなたがとった行動は?
優
あなたは視た未来を回避することができるのか?

優
一方、1人の龍くんは雄英へ


優
次回もお楽しみに!

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