第110話

origin 赤のメッシュ
111
2023/05/10 11:59





15番
15番
はぁ……はぁ……



 走ったことのないこの体で走るのは、重労働だった。



 だけど途中で、初祖さんが私を無理やり背負ってくれた。




初祖龍
初祖龍
ごめんね。体力ないのに走らせて





15番
15番
いえ…ハァ…大丈夫…ハァ…です



初祖龍
初祖龍
大丈夫じゃないよね???





 連れてこられたのは、人気がない路地裏。



 度々道路の隙間から見えるネオンの光が幻想的ではあったが、初祖さんに手を引っ張られてしまい、落ち着いて見ることは叶わなかった。



 まだ息も整えられていない私を地面に下ろし、初祖さんはそんな私の顔を覗き込んでいた。





初祖龍
初祖龍
息整えられていないから、勝手に話すね
初祖龍
初祖龍
君には二つの選択肢がある




初祖龍
初祖龍
まず一つ。衣食住を提供し、このまま表社会で生活する



 それ……本当のこと?



 心が読めないから、分からないけど。


初祖龍
初祖龍
必要最低限はこちらから提供するから支障はないよ






15番
15番
もう一つは……ハァ





初祖龍
初祖龍
なんとなくだけどわかるでしょ?






初祖龍
初祖龍
俺たちと一緒にくる




初祖龍
初祖龍
俺たちはチーム龍というチームに所属しているんだ





15番
15番
チーム……龍?





初祖龍
初祖龍
そう。簡単にいえば、闇組織。政府に公認されていない非公認組織





初祖龍
初祖龍
ヒーローやヴィランからも依頼はしているから、仕事内容は万屋に近い



 小説でいう悪役的な立場……?


初祖龍
初祖龍
悪役ねwwまぁ、ラノベばっか読んでいる君にとってはそうかもね







初祖龍
初祖龍
チーム龍は悪の正義のヒーローだよ



 悪でいて正義?



 矛盾が激しい……。


初祖龍
初祖龍
ま、そのうちわかるよ













初祖龍
初祖龍
んで、君はどっちがいい?













15番
15番
私は……










15番
15番
私が、幸せになって、いいんですか?



 声が震えた。



 自分でも思う。私が生きていいことに。



 化け物と言われた私が、この世で幸せに生活して、普通に生きてはダメなんだって。



 それならば、奴隷のままストレス発散機になったままのほうがマシだって……。



 私は、人外の化け物だから……。



 涙で視界が歪んだ。



 どうしたらいいか分からず、ただ初祖さんに手を伸ばしていた。














初祖龍
初祖龍
馬鹿だなぁ、君は



 初祖さんの声が聞こえた直後、伸ばした手を掴まれた。



 歪む視界が黒に染まる。



 後に、初祖さんが着ていた黒のTシャツだと気づいた。








初祖龍
初祖龍
君は人間だよ




 体を優しく抱きしめてきた初祖さんの体温の心地良さとその言葉に、私はただただ呆然としていた。



 初めて言われた。私が人間だって。



 溢れてくる涙が止まらない。







15番
15番
泣き虫でも、無能でも、私は泣いて、いいんですか?






 人並みに生きていても……。





初祖龍
初祖龍
泣いていいんだよ






15番
15番
、ポロポロ




 溢れた涙が優しく拭われた。



初祖龍
初祖龍
君が泣くたびに、俺が何度でも拭ってあげるからさ














初祖龍
初祖龍
泣く権利が、君にはあるんだ












初祖龍
初祖龍
生きる権利が、君にはあるんだ



















初祖龍
初祖龍
幸せになる権利が、君にはあるんだ






















 





初祖龍
初祖龍
だって君は、人間なんだから










15番
15番
ありがと…ポロ…ございます…ポロポロ







 私は、決めた。



 人外と言わず、優しい彼に。



 私は初祖さんから離れ、片膝をつき、いつかの小説で見た最敬礼をした。







15番
15番
貴方様の命令に背かず、貴方様の手足となって働くことをお許し願いないでしょうか?







 目線を下に向け、返答を待つ。



 奴隷だった時は、主人の返答を待つのが苦だったが、今は逆に清々しい気分だった。






初祖龍
初祖龍
顔を上げて





 ポン。





 上げた頭に手を乗せられた。





初祖龍
初祖龍
ありがとう。俺は君が仲間だけで嬉しいよ






 彼に忠誠を誓い、チーム龍に貢献したいと。



 それが今掲げた私の目標だった。



 不意に、髪が燃えるように熱くなった。



 視界の端に赤くなったメッシュのような髪が見えた。



 起こった怪奇現象が不気味とも不思議とも思わず、それが当たり前だと受けることができた。






優
ヤッホー
優
最近低浮上すぎてヤバイ
優
1週間以上休んだのは初めてだった
優
頑張る




優
それじゃあ、バイバイ!

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