第3話

入学初日
578
2018/12/18 03:14
「やばい!!俺達クラス違うぞ!!」

『だから言ったじゃん!!しょうちゃん馬鹿だから同じクラスじゃないってー!!私のクラス特進だし!』

「ぬおっ!?同じ血が入ってるはずなのになんでこんなに違うんだよー!!」

張り出されたクラス表に辿り着いた私達は、お互いの名前が同じ並びに記されてないことに気が付いた。

この人混みで中々の声量を容赦無く放出する我が従兄妹に、そういうとこだよ、と心の中で溜息をついた。

そろそろ離れた方がいいなと思い、近くにいるはずのオレンジ色を探す。

が、首を軽く動かしても目的の色は見つからない。

『…はぐれた?』

嘘やん。

あいつ、本物の馬鹿か?

この人混みで置いて行くか?

この、クラス表の前の人の量の中に置いて行くか?

怒りを通り越して呆れが頭を支配した。

『目を離した私が悪かったんですー。はいはい。』

小声で文句を言いながら出口を探していると、エナメルバッグが目に入った。

持ち主は見えないが、エナメルバッグだけが人の波に流されているようだ。

クラス表、見に来たのかな。

ここを脱出する前にこの可哀相なエナメルバッグを救ってしんぜよう。

両手で引っ張ってみたら、手が現れた。

『よっ!と…大丈夫ですか?』

現れた手から順々に足、学ラン、そして顔が見えた。

その顔は、見覚えがあって、見たくなくて、本当は違う場所で見るはずだった。

よく知っている顔だった。

「さーせん。あざっす。」

彼の両眼が私の顔を捉えた。

次に大きく見開かれた時にはお互い言葉を無くしていた。



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