トントンッと階段を降りてくる赤髪の男の子。
お義父さんの言葉とその男の子の格好に、私は口をパクパクさせる。
私は、すとぷりがまだあまり人気じゃなかった頃から知っていたいわゆる古参だ。
コメントだって何回も読まれたことあるし、名前だって呼ばれたことがある。
ニコニコと笑って、莉犬くんは無邪気に手を差し出す。
大好きなすとぷりの莉犬くんが、目の前にいる。
待って、本当に!?
私、今日命日だわ。
莉犬くんが、なかなか手をとらない私を見て小首をかしげる。
私がやっと聞くと、莉犬くんは笑って、
と言って、私の手をとってブンブンと振る。
認知されていたという事実に、私は胸の高鳴りを抑えられない。
言いたいことは沢山あるのに、出てくるのはありきたりな言葉ばかりで。
お母さんとお義父さんは、微笑ましそうに言って2階へ行く。
2人だけになり、私は改めて莉犬くんを見る。
そんなことをボーッと考えていると、
と莉犬くんが提案した。
すとぷりメンバーが私の義兄ちゃんと義弟だなんて……。
莉犬くんが2階の部屋に呼びかけると、黄色の髪の男の子が出てくる。
既に泣きそうな私。
莉犬くんがるぅとくんに説明すると、すぐに理解したようだ。
まさかの展開。
るぅとくんが優しく言ってくれるが、私は状況が上手く飲み込めない。
その時、るぅとくんの声を遮り誰かが扉を開けた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。