私は、新しい学校への道を歩きながら呟く。
左右から、励ましの声が聞こえてきて、私は下を向く。
右も左も可愛い天使で、どこを見たらいいか分からない。
私は、そう言って曖昧に笑う。
そうなのだ。
苺宮グループは、ここ最近力をつけているグループでなんと社長はお義父さん。
若く見えて、実は43歳だと言う。
それに、これから通う予定の苺宮学園はすとぷりのおじいさんが理事長らしいのだ。
どれだけハイスペックな家族だよっと、突っ込まざるを得ない。
私は、不思議そうに首を傾げる2人にそう言う。
喋っているうちに、学園についてしまった。
私たちは、そのまま職員室に直行する。
職員室の扉をノックすると、若い女の先生が出て来て私たちに挨拶をした。
そう言って、先生が上品に笑う。
私が転校してきた理由を『再婚のため』とするとめんどくさいことになるため、『ちょっと理由があって、離れて暮らしてたんです』と説明してあるのだ。
2人は、手を振りながらそれぞれの教室へと歩いていった。
私は、先生と2人きりになる。
****
家にて
私は、帰ってくるなりソファーに置かれた苺のクッションを抱きしめ、ボヤいた。
突然後ろから声をかけられ、私は肩をふるわせる。
なーくん、さとみくん、ジェルくんは仕事、るぅとくん、莉犬くんは友達と遊びに出かけたため、ころんくんもいないだろうと勝手に想像していた。
体育座りをし、腕に顔を埋めるところんくんが隣に座ってきた。
手には、ポテトチップスの袋を持っていて、それを私に差し出してくる。
お礼を言うと、ころんくんは軽く頷き口を開いた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。