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第3話

人狼 と 腹痛 (( 前編 ))
お財布もった?
持った!
iPhoneは?
ここにある!
チケットは?
今日の分はお財布のなか!
推しの前では?
ニコニコスマイル!
健登けんとの前で?
泣かないこと!
バッチリ!気をつけて行ってらっしゃい!
母が笑顔で手を振る。

八月中旬、夏真っ盛り。

学生の堕天使だてんしである夏休みも折り返し地点を迎えたころ。

私は、母と小さい頃から聞きなれた蝉の声に見送られ、福岡行きの大型バスへ乗り込む。

今日から3日間福岡へ一人旅行へ行くのだ。

目的もなく行くのかって?

いいや、そんなわけが無い。

私は、今日という日を指折り数えて待ちわびていた。

そう!今日から三日間10神ACTORてんじんアクターの舞台を見に行くのだ!

え?10神ACTORを知らないって??

じゃあ、今知ろうじゃないか。

10神ACTORとは福岡・九州を中心に活動するエンターテインメント集団。

ご当地アイドルじゃないよ。エンターテインメント集団だからね。

歌、ダンス、お芝居、漫才までしちゃうそんなグループ。

メンバーひとりひとりのこと紹介したい気持ちはやまやまだけどここで紹介してたらそれだけでお話が終わってしまいそうだからとにかくいいグループだから気になる人は調べてみてねって事で。

で、今回はその10神ACTORの舞台。

人狼TLPTじんろうティーエルピーティ

人狼は知ってる人がいるかもしれない。

人間の中に人狼と呼ばれる人間の姿をした狼が混ざっていて、人狼は夜になると1人人間を食べる。人間は話し合いの中で人狼の嘘を暴きながら処刑していく、そんなお話。

最近はスマホゲームなどにもなっている結構有名なゲームだ。

それを今回10神ACTORはアドリブ劇でやっていくという事だった。

アドリブ劇ってことは一切台本もなくてその場で考えて行う芝居。正直あたしは不安が多かった。

日常的にそんな芝居をやっている訳じゃない。そして、今回はファンに発表されるのも遅かった。

今日は8月10日だからもう初日公演から一週間近くは経っている。

慣れるという言葉はおかしいかもしれないが少しはアドリブ劇といういつもとは違うお芝居に馴染んで楽しんで推しがしてくれればいいな。

そんなことを考えながらバスに揺られた。

今回の舞台の会場であるガスホールにつき周りを見渡すとキラキラした人だらけ。

はぁ……

これが博多美人なのか。

そんなことを思いながら一つため息を吐く。

推しのパワーって本当に偉大だからどんなものよりも女の子を綺麗にしてくれる魔法だとあたしは思う。

そんな魔法にかけられている女の子たちは何よりも綺麗に見える。

それに比べあたしはキャリーバッグを抱え、方言丸出しのいかにもな田舎モン。

明らかにこの場の雰囲気に圧倒されている。
菜々未
華紀!!
キラキラオーラに耐えきれずホワイエの端の方でキャリーバッグの影に隠れていると、あたしの名を呼ぶ明るい声が聞こえ、声のする方へ目を向けるとエスカレーターを登ってくる眩しいくらいキラキラオーラ満載の女の子。
あ、菜々未。
菜々未
なーにキャリーバッグの影なんかに隠れちゃってんの!笑
痛い痛い。
可愛い顔に似つかわしいオバチャンのような笑いで私をぺしぺし叩く。

この子の名前は菜々未。
私より一つ年上のお姉さんではあるけど気を遣わずにいられる相方みたいなヲタク友達。
将来の保育士さんだよ。
あたしとは真逆のキラキラオーラ満載の博多美人。

まぁ、それでも仲良くしてくれるだけでも感謝感謝。
菜々未
物販並ばなくていいの?
階段に出来た列を指し菜々未が言う。
うーん、今日はいっかな。
終わったあとのメンバーが出てる方で買いたいし。
菜々未
そっかそっか。
健登出てくるといいね。
今回よく出てるよね。
そんな他愛もない会話をしていると、劇場への入口が開く時間となった。
菜々未
あ、もう開場時間か。
劇場の中入ろっか。
そだね。楽しみ。
菜々未
めっちゃ面白いから覚悟しときな
ワクワクに胸踊らせながら劇場へ向かう。

自分でも気が付かないうちにあたしは推しの不思議な魔法にかかっていたのかもしれない──

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🍅  華橘  🍅
入賞者バッジ
🍅 華橘 🍅
華橘で、((はなたちばな))と申します🙇‍♀️ 更新はとにかく気まぐれです🤦‍♀️ 🌸 『刹那〜織姫と彦星と私とあなた〜』 第4回プリコン 入賞させて頂きました 🌸 漫画のような恋愛に憧れてる看護学生JKです✌️ ですが、現実はそう甘くなく、漫画に書いたようなダメ男ばかりと関わって参りました。 さぁみなのしゅう小説の中ぐらい夢を見ようじゃないか! ヒロインはなぜかヤンデレちゃん多めです🤦‍♀️🤦‍♀️ 恋愛話はハッピーエンドじゃないと面白くない!なんていう謎のポリシーを持っております。 1日の終わりに少しの時間で読んで少しだけ幸せになれる物語をモットーに書いております🤓
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