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第4話

人狼 と 腹痛 ((後編))
菜々未
終わった終わった。
どーよ?人狼TLPT
菜々未があたしの心を見透かすようににやにやしながらこっちを見る。
もおーー、言葉に出来ないくらい最高だった!!笑
菜々未
はは、あたりまえじゃーん??
自分のことのように笑いながら歩く。

劇場からホワイエへと出るとそこには長蛇の列。

長蛇の列の意を知るあたしと菜々未は特に驚くことは無い。
みんな早いね〜、もう長蛇の列。
菜々未
物販ぶっぱんは後ろの方がいいんだよ〜って笑
物販ぶっぱんは講演の前後両方とも行われる。

でも、圧倒的に公演後の方が長蛇の列。

なぜかって??そりゃあ、メンバーが出てきて売るんだから。

同じもの買うなら推しと話しながら買いたいでしょ??

毎公演後7〜10人くらいのメンバーが出てきて販売を行う。

でも、どのメンバーが出てくるかは分からないから自分の推しが出てくるかは運って事。
菜々未
私、今日もし隆くん出てきててもランスのとこ行きたい!!
なになに。そんなにランス様に惚れた?笑
菜々未が突然あたしに宣言をする。

ランス様。黒いハットが目印の人狼TLPTの出演者であるが、10神ACTORのメンバーではない。
今回の舞台のために東京から来ていただいたいわばゲスト。

こういったゲストの方々も今回の舞台には数人いる。そのうちの1人がランス様なのである。

役名である"ランス"を聞き慣れてるせいか、ランス様ランス様なんて言ってるが本当の名前は森輝弥もりてるやさん

雪王子といっても過言じゃないほど肌が白いクールイケメンである。

そのあまーいマスクと優しい対応ですでにがっちりと10神ファンの心を掴んでいた。

まあ、あたしはどんな人が現れたとしても推しにしか興味が無い盲目痛ヲタクですから。
菜々未
あ!!ランスいる!!!!
あ、ほんとだ。良かったね。
菜々未
でも、健登はいないね。
いーんだよ。まだ明日も明後日もあるんだし
残念がる菜々未に言葉を返す。

ホワイエの一番奥の扉からグッズのTシャツに着替え続々と物販に出てくるメンバーの中にあたしの推しの姿はなかった。

でも、それでいい。
楽しみはあとに取っとけって言うからさ。

そんなことを考えながら菜々未とランス様が話しているところを眺めていた────
はああああああ、やっーーーと着いた!
携帯の画面に表示される時間は12時45分。
あたしが立っているのは駅の出入口。
初めて終電というものに乗った。

なぜかって??
舞台が思いのほか終わるのが遅かったのだ。
そして福岡の土地勘など皆無に等しいあたしは友達と一緒に歩いて駅へと向かったら終電ギリギリって訳だった。

そこから電車やら新幹線を乗り継ぎ2時間弱。

ここ3年ぐらいで1番疲れた。

これが歳をとるって現象なのかな。

そんなことを考えながらキャリーバッグを引いていると駅前で待つ一人の女の子があたしに手を振る。
美沙子ちゃん
華紀ちゃん!
美沙子ちゃん。ごめんね。こんなの遅くに……
美沙子ちゃん
全然大丈夫だよ!車向こうだから行こっか!
そう言ってあたしのキャリーバッグを代わりに持ってくれる。

この子は小野美沙子ちゃん。
10神ACTORファンの中学生。
方向音痴、田舎モンのあたしを快く自宅に泊めてくれる優女ちゃん。

美沙子ちゃんに案内され駐車場に停められたワンボックスカーのドアを開ける。
あ!ゆなさん!!
わざわざすみません〜。
ゆなさん
ぜーんぜん。華紀よく来たわね〜。
優しく微笑むこの方は美沙子ちゃんのお母さんの佑奈ゆうなさん。通称ゆなさん。

娘に負けず劣らず10神ACTORの大ファンです。

本当に第2のお母さんって言っても過言ではない。

本当に今回も快く泊めてくれて、こんな夜中に迎えにも来てくれてほんとにただただ感謝の一言でしかない。

そして、家に着くまでの車の中で今日のレポートを話していると20分程で家に到着した。

ログハウスのような雰囲気のおしゃれな一軒家。

マンション暮しのあたしには一軒家はやっぱり憧れだった。
ゆなさん
さあさあ。入りな入りな〜。
華紀ビーフシチュー食べる??
え!はい!!頂きます!
朝からなにもたべてなかった私は二つ返事で返した。

ビーフシチューを頂いたあとお風呂にも入らせていただいた。

お風呂から上がるとあたしのスマートフォンに不在着信が表示される。

夜中2時前、こんな時間に誰だろうと不審に思いつつ見ると母だった。

ママ?こんな時間になんだろう?

待ちうたが切れると電話の向こうからママの声がする。
ママ??どしたの〜??
夜遅くにごめんねぇ。
とまらせて頂くおうち着いた?
うん!着いたよ!!
良かった良かった。
それでねぇ……
突然ママの声が少し暗くなる。

きっといいニュースじゃないことはすぐに分かる。
ママ〜??なになに?どしたの?
純之介がね、夜からじっとしてられないぐらいの腹痛を訴えて、呼吸も苦しいなんて言い出すからさっき急いで夜間救急に連れてきたの。
ほうほう。
純之介が体調悪いとかあそこが悪いって言ってるのは毎日のことである。

いつもあたしと一緒に聞き流しているママが夜間救急に連れて行ったということは相当やばかったことは容易に想像ができた。

まぁ、だからと言って特に可哀想などとは思わない。
普段不摂生の極みみたいな生活をしている上に普段の行いが悪いすぎるあいつを可哀想なんて思う義理はない。

他人から見ればあたしは冷たい人に見えるのかもしれないけどあいつは人にここまで思わせるそんな男なのだ。

一応看護学生の端くれのあたしはママからの状況からどんな病気があるかを想像しながら聞く。
それで、なんか血液検査の何かがめっちゃ悪くて今から県病院に入院するの〜!!
え?入院?
意外と予想外の言葉だった。

入院かぁ。そりゃた、ママは大変だ。
一応報告した方がいいかなって思って!
でも、華紀は気にせず健登を存分に楽しんできてね!?
帰ったらお話聞くの楽しみにしてるから!
そっか。ありがとう。ママ。
ママはきっとあたしを心配させないようにって言葉を選んで話していた。

長い間あたしたち兄弟を見てきたからこそ本当に心底仲が悪いわけじゃないってことを知っているから。


じゃあ、明日も早起きでしょ??
早く寝てね!おやすみ。
おやすみなさい。
そう言って通話終了ボタンを押す。


結局純之介は"肋間神経痛"ってものだった。

鎮痛剤を打つとだいぶ痛みも和らぎ入院もしなくて良くなったとの事だった。

どんなに嫌いな兄貴でも少しぐらいは心配はする。

どんなに普段は犬猿の仲でもどっちかが大変な時は助け合う。

きっとそれが家族ってやつで血が繋がってることの宿命だから。

うちの兄は本当にめんどくさいし、性格が悪い。

だけど、純之介が兄貴ってことは消すことのできない事実で、神様が与えたイタズラ。

神様もきっと性格が悪いのかもしれない。

だけど、家族だからこそ気を使わずなんでも言える。


家族だからこそ信じてるのかもしれない。

きっと、それが家族だから────

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🍅  華橘  🍅
入賞者バッジ
🍅 華橘 🍅
華橘で、((はなたちばな))と申します🙇‍♀️ 更新はとにかく気まぐれです🤦‍♀️ 🌸 『刹那〜織姫と彦星と私とあなた〜』 第4回プリコン 入賞させて頂きました 🌸 漫画のような恋愛に憧れてる看護学生JKです✌️ ですが、現実はそう甘くなく、漫画に書いたようなダメ男ばかりと関わって参りました。 さぁみなのしゅう小説の中ぐらい夢を見ようじゃないか! ヒロインはなぜかヤンデレちゃん多めです🤦‍♀️🤦‍♀️ 恋愛話はハッピーエンドじゃないと面白くない!なんていう謎のポリシーを持っております。 1日の終わりに少しの時間で読んで少しだけ幸せになれる物語をモットーに書いております🤓
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