てつおに泣きながらそう言われた瞬間、私は初めて自分の情けなさに気がついた。
一人でてつおに対してキレて、悲しんで…
てつおの話さえも聞かずに、
てつおを苦しめていたんだ。
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私はてつおのおでこに手を当てる。
私はてつおの腕を掴み、マンションの中へ入る。
部屋に入ると、てつおはいつものようにソファに座る。
私はてつおの大好きな温かいココアを入れ、てつおの隣に座った。
私がいるから断るなんて当然かもしれないけど…当たり前のようにそう言うてつおを見て少し嬉しかった。
でも……
私がそう言った瞬間、てつおは俯いた。
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てつおが少し苦しそうに話す。
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ああ、私が昨日見た光景だ。
二人が何も話さず、突っ立ていたあの光景。
思い出すだけで胸が苦しい。
二人がキスしてるところを見た以上、
苦しさはまだ消えないけど
てつおの話を聞いて
心の中のモヤモヤが消えた気がした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!