お粥を作っているとソファの方から声が聞こえる。
そう言うとてつおは嬉しそうに笑う。
言われてみればそうだった。
付き合ってからずっと会えるのは仕事が終わってからで。
、
朝から夜までずっと一緒にいたことなんてなかった。
私は出来上がったお粥を持って、てつおが横になっているソファの前のテーブルに運ぶ。
てつおは体を起こし、にこにこな笑顔でフーフーしながら「おいひい」ってお粥を食べる。
またこうやっててつおと過ごせる日が来るなんて思ってなかった。
目の前で熱そうにお粥を食べるてつおが愛おしくてたまらなかった。
ずっと……この先ずっとてつおと一緒にいたいって思った。
てつおもそう思ってくれてたら嬉しいな…
そう言うとてつおは嬉しそうに笑った。
この笑顔をずっとそばでみたいって思った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。