そう思いつつ、短めの金髪を揺らす少女からのジャンピング抱擁(首絞め状態になるパターン)を受け止める。
不確かな情報らしきものを聞く限り、次から次へと発せられる言葉の内容は、お皿、コップ、箸、空き瓶などの食器の名前だった。
わぁ凄い! 私も良く分かんない!泣
現代っ子のように返事をした少女は、自分に空中飛行の魔法をかけた。
まだ幼く、魔力も少ない事を改めて噛み締めながら、人里へ、魔理那と飛んで行った。
……………
言った通り、途中で魔法が切れ、魔理那は突然の急降下。
弧を描くでもなく、真っ直ぐ落ちる少女の姿は、誰が見ても冷や汗をかきそうになるだろう。
ましてや、それが家族なら……
【今までそんなに叫ぶ事が無かった大人の、貴重な叫び声】
と受け取るか、
【娘魂抜かれる瞬間の恐怖を感じる母親の叫び声】
と受け取るか。
そんな風にしか考えられないほどの叫び声を発して、魔理沙さんは魔理那を見事キャッチ。
パチパチパチ
と、見事なキャッチに妖夢さん、幽祈、私は思わず拍手をしてしまった。
その隙に、と言わんばかりに音を鳴らしたのは、霊羅が呼ばれる原因ともなった、つくも神。
お互いがぶつかり合うことで、食器が軽く触れ合った音が鳴る。
神の御力か、はたまた、音を聞いて黙り込んでしまった魔理沙達のせいか。
食器がぶつかり合う音は、日常生活でなる音とは違い、脳に直接響くような、何とも言えない心地悪さを出していた。
魔理那は、音を聞いてか、苦しいからか、魔理沙さんの腕から頭を出して、霊羅へ伝える。
つくも神の行列。
その単語に心当たりがあったはずの魔理沙の話は、一瞬にして、後ろから現れた見覚えのある人影によって打ち砕かれてしまった。
マミゾウの登場を境に、つくも神達は鳴らす音のリズム、波長を変え始める。
脳に響く音から、優しく、濁ったような音へ変えた。
そういうマミゾウの後ろの草むらから、即席の担架のような物で、1匹に対して5,6匹に運ばれる狸達が、大勢出てきた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。