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第1話

1話
268
2019/03/15 14:57
博麗霊夢。
幻想郷の素敵な巫女と呼ばれた彼女は、
月へ行ってしまった。

ならば、その娘は果たして【巫女】と呼べるのだろうか。







*_*_*_*_*_*_*_*_*_*_*_*
八意永琳
八意永琳
霊夢。起きてる?
博麗霊夢
博麗霊夢
えぇ。…もうお昼の時間かしら
永琳の持っている おぼん を見て、私はそう問いかける。
八意永琳
八意永琳
今日は、お米と味噌汁、卵焼きに林檎よ
博麗霊夢
博麗霊夢
和食ね。
昨日は、ぱすた?とかだったし久しぶりの和食ね
八意永琳
八意永琳
…………もう1ヶ月切ったわね
しばらく訪れる沈黙。
博麗霊夢
博麗霊夢
そう……ね。
来月は私の誕生日。
誕生日は好きな願い事を1つ叶えてもらう約束。
つまらない病室で数少ない楽しいイベントの1つ。
でも、今年は…
博麗霊夢
博麗霊夢
本当に…駄目なのよね
八意永琳
八意永琳
……えぇ。残念だけれど





【幻想郷に降りる事は駄目よ】






静かに、落ち着いて、冷たく、でも少し優しく。
突きつけられた言葉は重く、辛い。
けれど、私はそれでも
博麗霊夢
博麗霊夢
じゃあ……来年に期待ね
無理して笑って、
笑えてるかも分からなくて、
それでも笑うしかなくて、
そして、表情が崩れないように、
見られないように、
顔を伏せた。
八意永琳
八意永琳
……ごめんなさい
博麗霊夢
博麗霊夢
貴方が謝ることじゃないわ


あと1ヶ月で



私の誕生日だ。







*_*_*_*_*_*_*_*_*_*_*_*

私は博麗の巫女の娘。

まだ巫女じゃないわ。
博麗霊羅
博麗霊羅
フゥ……
ため息をつく、その直後
霧雨魔理那
霧雨魔理那
レッラ姉ッーーーー!!!!!!
金色の短い髪を揺らしながら手を振り、こちらへ走って来る少女。
頭の右上にあるリボンは少女の走りに合わせてフワフワと揺れ、スカートは軽く羽ばたくように風を切る。
霧雨魔理那
霧雨魔理那
何してたのー?
トフッと私を抱きしめる少女は私の服に顔を埋める。
博麗霊羅
博麗霊羅
朝から異変があったから解決して帰ってきたところ。
霧雨魔理那
霧雨魔理那
おー。なんの異変なんの異変?
博麗霊羅
博麗霊羅
畑荒らしと、狐化かし、あとは妖精のイタズラに………色々ね
霧雨魔理那
霧雨魔理那
ほー。……レラ姉。
博麗霊羅
博麗霊羅
ん?
霧雨魔理那
霧雨魔理那
何にするか……決めた?
博麗霊羅
博麗霊羅
………まだ
霧雨魔理那
霧雨魔理那
……お母さんも迷ってた
博麗霊羅
博麗霊羅
でしょうね。長い付き合いらしいし
霧雨魔理那
霧雨魔理那
……戻らない…の?
博麗霊羅
博麗霊羅
……うん


母の誕生日の1ヶ月を切った。
誕生日プレゼントは何にしようか
決まらない。

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