༝༝༝
ギシッ ギシッ とベッドが軋む音。
それをあたしは まるで他人事のように聞く。
いつから...?
彼に抱かれていても、苦しくなるようになったのは。
息をとめてしまいたくなるくらい、涙がとまらなくなったのは。
いや、もうずっと前からそうだったのかもしれない。
目の前で苦しそうに歪む顔。
それすらも愛おしくて。
そう感じる度に あたしは堕ちていく。
この人が好き。
愛おしい
この人と 触れ合えることが、嬉しい
── そう思うのに、
どうしてだか胸は苦しい。
理由なんて、分かりきっている。
彼の “ 愛してる ” は
あたしにいつも 虚無を与えるから。
未来なんて、ないのに
あたしは彼を愛してしまったから。
༝༝༝
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。