第10話

༝༝༝🥀
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2019/07/01 23:07
あたしの手を掴んだまま葉月くんは
使われてない教室の前で止まった


すこし古い木の匂いがする。


こんなところ来て...何話すっていうの...?


廊下の人にまるで珍動物かのようにみられるなんてあんまりいい気分ではない。

葉月
入って
ゆめ
いや
葉月
いいから早く入れって
ゆめ
だからイヤって.....っ!!
ラチのあかない言い合い


もうほんとに迷惑...。
葉月
ちっ...早く入れっていってんだろ
ゆめ
っ.....!
ぐいっ、と力強く腕を引っ張られて
抵抗も虚しく教室の中に押し込まれた


.....痛い。


だいぶ強く掴まれた腕が熱を持ったように熱く、じんじんしている。


カチャリと鍵の閉まる音が教室に響いた。


さっきまで優しげに聞こえていた声が一変したのをあたしは聴き逃してはいない。
ゆめ
ちょっと...なにするつもり...っ?こんなとこに連れてきて...
葉月
別になにもしねーよ

じゃあどうして?


こんなとこに連れてきたの...


変に目立つ行動...したくない...。


あぁでも葉月くんと噂が立てば、先生との関係は噂たつことないかなぁ...


そんなことをこの後に及んでまで考えているあたしは人間のクズ。
葉月
なんでそんなに泣きそうな顔してんの?

あたしは何も聞こえないふりをする


泣きそうな顔なんか、してないのだから。
葉月
あー俺になにかされるかも、って期待した?

彼は冷めた目であたしを見た。


あたしはそんな彼に同じように冷めた目で返す
ゆめ
いまさら、何かされたって何も思わないよ

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