朝、目が覚めると
呼んでも、なんの返事もなくて、
部屋を探したけど涼介くんはいなかった。
まるで昨日のあの幸せな時間なんて
なかったかのようで。
その事実にだいぶ寂しく思ってしまう。
けど、そんなところで考える時間もなくて
今日も仕事をしなければならない。
頬を叩いて気合いを入れた。
それから朝ごはんを作ろうと、
キッチンに向かうと
そこには、朝ごはんと思わしき食べ物が
ラップをかけられて置いてあって。
" 食べとけよ "
雑に書かれた手紙が一緒に置かれていた。
もうたったそれだけなんだけど、
心が熱くなる。
だって絶対、朝早かったのに。
わざわざ、朝ごはん作ってくれるなんて···。
好きが増すって。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!