第5話

いじめ
28
2019/06/09 00:31
それから、上履きを隠されたり、

教科書を隠されたり、

嫌がらせは何日も続いた。

クラスの女子のほとんどが

口を聞いてくれない中、

どうやら、麻衣子がみんなを

仕切っていることがわかった。

なっちゃんが私に話しかけようと

すると、麻衣子が大声でなっちゃんを

自分の方に読んだりする。

体育の時間、私が走る番になると、

麻衣子のグループの子たちが

私を指さしてゲラゲラ笑い声を

上げたりする。

廊下で私とすれ違う時には、

今日もキモイんですけどー

学校来ないでほしんですけどー

って大声をあげる。

でも、いったいどーしてこんな目に

あうんだろう。
理由を考えてみたけれど、

どうしてもおもい当たらない

私は勇気を振り絞って、

ある日の放課後、麻衣子を呼び出した。
中庭の自動販売機の前で待っていると、

麻衣子があらわれた。
いじめ女子リーダー
いじめ女子リーダー
なに、話って?
麻衣子は両手をブレザーのポケットに

つっこんで、いかにもめんどうくさそうな

態度で私の前に立つ
あなた
あなた
いや、あの。。。
いじめ女子リーダー
いじめ女子リーダー
話がないんだったらさ
麻衣子は話出そうとした

私を即座に遮った。
そして私をにらみつけるように

しながらゆっくりと歩いていく。
いじめ女子リーダー
いじめ女子リーダー
面白い遊び、付き合ってよ
麻衣子は少し離れたところで

立ち止まって、満面の

笑みを浮かべながら

私を見た。
あなた
あなた
面白い遊び?
いじめ女子リーダー
いじめ女子リーダー
これよ
麻衣子は頭上を指さした。
あなた
あなた
え?
つられて上を見ると、窓から

バケツを持った手があらわれて
バシャーン!
私は頭から大量の水をかけられた。
いじめ女子リーダー
いじめ女子リーダー
あははははは
水浸しの私を見て、麻衣子が

声を上げて笑いだした。
いじめ女子
いじめ女子
まじうけるー
窓からは、麻衣子のグループの女子が

やっぱり楽しそうに笑っている。
あなた
あなた
なんで?
私はうつむいてこぶしをぎゅっと

握りながら言った。
いじめ女子リーダー
いじめ女子リーダー
は?
麻衣子が近づいてきた。
その顔は真顔だ。

もう、まったく笑っていない
あなた
あなた
なんで?なんで私に嫌がらせするの?
どうしてこんなことを

されなくちゃいけないのか分からない
私は耐えられなくなって声を上げた
いじめ女子リーダー
いじめ女子リーダー
分かんないの?自分のしてること。
生意気なのよ。あんたみたいな女が
げんと仲良くするなんて
麻衣子もきつい口調で言い返してくる
あなた
あなた
え?
いじめ女子リーダー
いじめ女子リーダー
私は中学のときから源と一緒なの!
なのに、なんで同じクラスになった
ばっかのあんたが私より仲良くするのよ!
ありえないんだけど!
そして、私の髪をつかみ
頭をゆすった。
髪の毛からしたたりおちてくる

水が、あちこちにはねる。

後頭部が背後の自動販売機に

うちつけられる。
いじめ女子リーダー
いじめ女子リーダー
わかったらこれからげんくんと
仲良くすると辞めてよね
麻衣子は手をはなし、

私から遠ざかっていく。
そして、数歩行ったところで

立ち止まって、振り返った。
いじめ女子リーダー
いじめ女子リーダー
それとも、もっと面白い遊び、する?
麻衣子はニヤリと笑い、去っていった。
鳥肌がたつような感覚がして

私はその場に膝から崩れおちた。

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