開いた窓から籠った煙草の煙が逃げる様に出て行く
遮光布は左右で別けて括られている為 、夜空が良く見える
暫くして煙は外へ行く途中に途切れた
それは原因の彼が灰皿に煙草を押し付けて火を消したから
隣に座る男が未だ煙の残った口を開く
偵察しに来た 、と言う予想が勘違いだと判ッたらしく
真面目な声色で謝られる
其れに対し私も 、と言いかけた時
遮ってくれて助かった
危うく私も謝るところだった
すると中原は右隣に居る私と真逆の左を向きながら
首に手を当てて云ッた
ならこのお弁当を明日食べる事にして 、そうすれば
明日は何も心配せずに夜まで作業が出来る
もう既にキッチンに立つ彼は 、冷蔵庫から食材を
取り出しながら答えてくれる
良い冷蔵庫使ッてんな
と強気に出たら光の速さで目を逸らされた
弱味 (?) ゲット
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!