『ねぇ、何してるの?』
1人の私にそう話しかけてきたのは男の子だった。
『…なんでもいいじゃない』
私は泣き顔を見られたくなくてそっぽを向く。
『よくないよ、心配する』
こいつは人の気持ちも考えず私の顔を見ようとしてくる。
イラッときた私は涙を振り切って、
『っ!!なによ!人の気持ちも考えずに…!!』
と、振り向いた。そこには綺麗な真剣な顔があった。
ふと足を見ると。そう、足がなかったのだ。
『…あらら。気づかれちゃったか』
男の子は照れくさそうに頭を掻く。
…ゆう…れい?
私は驚きのあまり涙が引っ込み、目を丸くする。
『僕は、悠佑(ゆうすけ)。現役幽霊1年目です。』
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。