まるside
朝起きたら事務所行って編集とか撮影して、終わったら絃歩と俺2人の家に帰って、俺の作ったご飯食べて一緒に風呂入ってHして寝る。
これが俺らのルーティンだった。
でも最近は朝起きると横に絃歩は居ない。
何故かパソコンに向き合ってて時々楽しそうに誰かと電話してる。
見ない方がいい。 見たら後悔する。
そんな事は分かってたはずなのに…。
付き合って3年目の記念日2日前。俺はパソコンに向き合ってる絃歩にバレないように近づいてしまった。
パソコンに映し出されていたのは結婚式場だった。
そして電話口から聞こえてくるのは女の人の声だった。
明後日? 俺らの記念日やん。
カッコよくてめっちゃモテる絃歩。
本当は彼女がおったん?俺は所詮セフレだったん?
そんな事ばかりが頭の中を駆け巡った。
パソコン越しに俺と絃歩の目が合った。
電話を切った後、絃歩は振り向いた。
絃歩にそう言われ自分の頬を触ると濡れていて知らない間に涙が出てたことに気が付いた。
絶対分かってるくせに。そう思った。
絃歩は何故か驚いた顔をしていた。
絃歩が何を考えてるのか分からなかった。
何も考えたくなくなった俺はつい感情的になり絃歩に怒ってしまった。
そう言い俺の腕を掴もうとする絃歩の手を払い除けた。
俺はお揃いで買った指輪を絃歩に向かって投げ捨てた。
そして家飛び出した。
この時はまだ俺の方が酷く絃歩を傷付けた事に気付かなかった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。