丈一郎『ほら、着いた』
あなた『…』
丈一郎『はよ行きや、俺の気が変わるうちに』
そう言って私の頭に手を置いた。
私は渋々車から出た。
丈一郎『素直に言いや、あいつ喜ぶわ』
あなた『…分かりました』
丈一郎『じゃ、またな』
そう言うと車を走らせた。
私はそこに立ちすくむ。
恭平『あなた!』
あなた『…っ』
すると後ろから勢いよく抱きしめられた。
恭平『俺が悪かった…ごめん』
あなた『…恭平さん』
恭平『愛してる』
私はゆっくり恭平さんから離れて
恭平さんの方を向く。
あなた『…あの人は誰ですか?』
恭平『…』
あなた『言えないなら、これで終わりですよ』
何故か強気でいられる。
私は恭平さんから離れていこうとする。
恭平『待って』
そう言って私の腕を掴んだ。
私はゆっくり振り返る。
恭平『…元カノ』
あなた『…そう』
恭平『でも、適当に付き合っとっただけで、好きになったのはあなたが初めてや』
そう言って私をじーっと見る。
私は恭平さんの頬に手を置いた。
あなた『よく出来ました』
そう言ってキスをした。
恭平さんは少し驚きつつ、すぐにがっついてきた。
お互いの吐息とリップ音が静かな空間に響く。
恭平『…はぁっ…許してくれた?』
あなた『…許します』
そう言った瞬間、私を抱きかかえて
家に入っていった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。