それから数週間後。
あれから私たちはいつも登下校を共にしている。
私は授業中もずっと彼のことを考えていた。
そうして迎えた下校時間。毎日、胸のドキドキとワクワクが止まらない。
私が思わず元気にそう答えると、彼は一瞬驚いた素振りを見せたが、ニコッと笑ってくれた。
その笑顔にまた、私は胸を撃ち抜かれる。
こんなたわいも無い話をしながら歩く。
一番重要な部分が聞こえない。
なんて言ってるの?気になって仕方ない。
彼はハッキリとそう言った。
゛好き ゛と。
信じられないけど、頬をつねってもただ痛みが残るだけ。
これはきっと、現実である。
どうするの、私。
今のこの状況は頭が混乱してよく理解出来てないけれど、結弦くんは私に想いを伝えてくれた。
なら、私も伝えなければ。
私はゆっくりと深呼吸をする。
そうして私達はお付き合いを始めたのだ。
でもまだこの時はあんな未来になるなんて、思ってもみなかった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。