第4話

お付き合い開始
200
2021/06/20 07:28

それから数週間後。

あれから私たちはいつも登下校を共にしている。

私は授業中もずっと彼のことを考えていた。

そうして迎えた下校時間。毎日、胸のドキドキとワクワクが止まらない。


峰川 結弦
峰川 結弦
じゃ、行こうか
斎藤 雪穂
斎藤 雪穂
うん!

私が思わず元気にそう答えると、彼は一瞬驚いた素振りを見せたが、ニコッと笑ってくれた。

その笑顔にまた、私は胸を撃ち抜かれる。

峰川 結弦
峰川 結弦
雪穂さんが段々俺にも心開いてくれてるようで嬉しい
斎藤 雪穂
斎藤 雪穂
う、嬉しい……んですか?


こんなたわいも無い話をしながら歩く。


峰川 結弦
峰川 結弦
だって……
斎藤 雪穂
斎藤 雪穂
だって?
峰川 結弦
峰川 結弦
─────だから

一番重要な部分が聞こえない。

なんて言ってるの?気になって仕方ない。


峰川 結弦
峰川 結弦
好き……だから
斎藤 雪穂
斎藤 雪穂
え……?

彼はハッキリとそう言った。


゛好き ゛と。


信じられないけど、頬をつねってもただ痛みが残るだけ。

これはきっと、現実である。

どうするの、私。

今のこの状況は頭が混乱してよく理解出来てないけれど、結弦くんは私に想いを伝えてくれた。

なら、私も伝えなければ。

私はゆっくりと深呼吸をする。



斎藤 雪穂
斎藤 雪穂
わ、私も結弦くんのことが好きです
峰川 結弦
峰川 結弦
……本当に?
斎藤 雪穂
斎藤 雪穂
はい……


そうして私達はお付き合いを始めたのだ。

でもまだこの時はあんな未来になるなんて、思ってもみなかった。

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