第5話

初デート
239
2021/06/22 22:00

私は慣れない靴を履いて駅まで猛ダッシュする。

なんてったって、結弦くんとの初デート。

いや、人生初のデートだ。


駅に近づくにつれてスラッとした人影がハッキリとしてくる。間違いなく、結弦くんだ。



斎藤 雪穂
斎藤 雪穂
お、お、おまたせ!
峰川 結弦
峰川 結弦
俺も今来たところ。じゃあ、行こうか
斎藤 雪穂
斎藤 雪穂
うん!

結弦くんはとても優しい。段差があれば手を差し伸べてくれるし、少し待ち合わせに遅れても絶対に怒らない。

髪を切ったらすぐに気づいてくれて、私の事だって褒めてくれる。

だからか、私は最近少し自分に自信が持てて、明るくなったと思う。


峰川 結弦
峰川 結弦
大丈夫?
斎藤 雪穂
斎藤 雪穂
うん!

結弦くんと目が合うだけでも恥ずかしい。

初恋は切ないってよく聞いてたけど、全然そんなことなくて。むしろ、幸せだ。


その後、私たちはこの街では有名な海辺を散策することに。
たくさんのスイーツショップやカフェが立ち並んでいる。その他にも、ショッピングモールもあるようだ。


峰川 結弦
峰川 結弦
どこ行こうか?
斎藤 雪穂
斎藤 雪穂
うーん……私はあそこのクレープがいいかな
峰川 結弦
峰川 結弦
俺は向こうのアイスクリームがいい。
お互い買ってきて、そこのベンチで食べよう

そして、私はずっと来たかったスイーツ店の名物、抹茶クレープを頼んだ。

目の前で作られるクレープをよく眺め、受け取り、ベンチの方へ歩く。

ベンチに近づくにつれて、先に待っていた結弦くんが手を振ってくれるのが見えた。

そして、私の座る場所を綺麗にしてくれている。

斎藤 雪穂
斎藤 雪穂
ありがとう!
峰川 結弦
峰川 結弦
どういたしまして

目の前に大きく広がる海。

爽やかな風の吹く中、美味しいものを好きな人とこんな素敵な景色を見ながら食べるなんて、最高だ。

こんなに幸せでいいのか……何か悪いことが起きてしまいそうだと思うほどに幸せだった。


峰川 結弦
峰川 結弦
楽しい?
斎藤 雪穂
斎藤 雪穂
うん!もちろん!
峰川 結弦
峰川 結弦
よかった。つまんないとか思われてたらどうしようって心配で
斎藤 雪穂
斎藤 雪穂
結弦くんとなら何してても楽しいよ


私がそう言うと、頬を赤らめる結弦くん。

私も普段なら絶対に口にできないような言葉を色々と言ってしまった。



峰川 結弦
峰川 結弦
俺も楽しい
斎藤 雪穂
斎藤 雪穂
ずっとこの時間が続けばいいのにね


手を繋ぎ、そう言って海を眺めていた。

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