第23話

にじゅうさん
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2021/01/24 04:04
ーーー最終日ーーー
樫「おばあちゃん!ただいま!」

祖母「あら、あなたじゃないかい」

樫「ごめんね連絡してなくて」

祖母「いいんだよ、それより手を合わせてきなさい」

樫「うん、母さんが好きなものも買ってきたよ」



おばあちゃんに言われたとおり手を洗ったあとお母さんの元へいく

幼い頃父の不倫で離婚した母は癌を患っていながらも女手一つで私を育ててくれたが、5年前容態が急変し入院してその3日後に息を引き取った

5年前から私を育ててくれたおばあちゃんも御年89歳
おじいちゃんも私が産まれる前に亡くなっているのでおばあちゃんが亡くなってしまったら私の血縁は父だけになってしまう

母が居ない悲しみもおばあちゃんのおかげで乗り越えられた
そんなおばあちゃんを今度は私が楽させてあげたい




お仏壇の前に座り手を合わせる


お母さん、どうか私とおばあちゃんを見守っていて下さい

樫「おばあちゃん、今からちょっとスクール行ってくるね!」

祖母「晩ごはんはどうするんじゃ?」

樫「久しぶりにおばあちゃんのご飯食べたいから夕飯までには戻ってくるよ!」

祖母「ほーか、気をつけて行くんじゃよ」



ーーースクールーーー

樫「皆ー、やってるー?」

「あなたせんせーだ!」

「久しぶりじゃー!」

?「あなた、久しぶり!元気にやってるみたいで良かったよ」

樫「豆!久しぶり!豆も元気そうで良かったよ!」


彼は豆原一成
私と一緒にこのスクールに通っていてそのままインストラクターになった


豆「あなた最近どう?」

樫「あんな、豆には言わんとなって思ってたんじゃけど私ジャニーズに入所してん」

豆「え!!ジャニーズって男だけなんじゃ?」

樫「ジャニーさんにスカウトされて男装してくれって言われてさ」

豆「そうなんだ、あなた踊り方とかふとした表情とか男っぽいもんね」

樫「それ褒めてる?」

豆「褒めてるよ(笑)でも大変そうだね」

樫「うん、バレないかいつもヒヤヒヤしてる
メンバーも皆距離近いから余計にね」

豆「そっか。相談ならいつでも乗るから」

樫「ありがとう、やっぱり私のこと一番分かってるのは豆だね!」

豆「幼馴染ですから(笑)」
その後、豆と久しぶりにいろんな話をした
スクールの話がメインだったけどメンバーには話せなかった話もできて心が満たされた



樫「じゃあおばあちゃんが夕飯作って待ってるからまたね」

豆「いつでも岡山に帰ってきてね」

家につくと美味しい匂いが鼻をかすめる


樫「おばあちゃんただいま!晩ごはんはオムライスだね?」

祖母「よう分かったなぁ。あんた昔っから好きじゃからなぁ」

樫「おばあちゃんのオムライスは天下一品じゃ!」

祖母「さ、手ぇ洗っといで」

久しぶりのおばあちゃんのご飯はとても美味しかった

ご飯の後私が男装してジャニーズに入所したことを伝えた

反対されるかと思ったがおばあちゃんはそうかいの一言だけで満足そうに笑ってくれた






東京に帰る日
おばあちゃんと豆とスクールで教えてた子たちが見送ってくれた

祖母「あっちでも頑張るんじゃよー」

樫「おばあちゃんも体に気をつけてな」

祖母「あと100年生きる予定じゃ」

樫「流石おばあちゃん(笑)」

「せんせー!また教えにきてねー!」

「待ってるよー!」

樫「次来たとき新しいステップ覚えといてな?」

豆「あなた」

樫「豆…」


豆に抱きしめられて耳元で囁かれる


豆「辛くなったらいつでも戻ってきて
大好きだよ」

樫「豆、ありがとう
豆も辛くなったらいつでも連絡してね」

豆「うん」

樫「じゃあ行ってきます!」
その日豆からメールで皆電車が見えなくなるまで手を降ってたよと教えてくれた

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