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第21話

vol.18 名
3,115
2022/07/10 16:40
────────次の日。
寺戯 長詠
寺戯 長詠
ふぁああ〜。学校しんど……
中原中也
中原中也
まだ起きて飯食っただけだろ
グリム
グリム
にしても、昨日はいきなりオンボロ寮に寺戯の仲間が泊まるって聞いて吃驚したんだゾ。咳ばっかしてる奴は何か怖そうだし……
ユウ 監督生(仮姿)
ユウ 監督生(仮姿)
芥川さん、でしたっけ?
身体弱いんですか?
寺戯 長詠
寺戯 長詠
彼は貧民街育ちで環境が環境だったからね。其処で肺を悪くしてしまったんだよ
ユウ 監督生(仮姿)
ユウ 監督生(仮姿)
そうだったんですね……大丈夫でしょうか?
中原中也
中原中也
樋口が居るから心配ねぇよ。
彼奴もそんなんでくたばる程ヤワじゃねぇ
寺戯 長詠
寺戯 長詠
そう言えば中也、改めて見ると君何気に制服似合ってるじゃないか
中原中也
中原中也
其れはどうも。昨日コスプレとか言ってた癖に、どうせ嫌味だろ
寺戯 長詠
寺戯 長詠
お、よく分かったね
中原中也
中原中也
手前……マジ殺す。太宰の野郎、余計な性格まで此奴に継がせやがって
グリム
グリム
お前ら仲悪いのになんで一緒にいるんだ
寺戯 長詠
寺戯 長詠
居たくている訳じゃねーって。
今すぐにでも“俺”の視界から消したい気分
中原中也
中原中也
奇遇だな。俺も同じ事考えてたぜ。
その前に手前の糞生意気な口を黙らせてやろうか
グリム
グリム
こいつら物騒なんだゾ。
寺戯に関してはキャラが完全に変わってると言うか……
ユウ 監督生(仮姿)
ユウ 監督生(仮姿)
もしやこっちが素なのでは……?
少年とグリムを間に挟んで中也と口喧嘩をしながら歩いていると、門の前に着く。
門の近くには昨日の羽付き帽子を被った生徒がいた。
ルーク・ハント
ルーク・ハント
おや?ムシュー・ナイフ。
今回もまた探しものかな?
中原中也
中原中也
手前は昨日の……って違ぇよ。
今日から俺も訳あって通う事になったんだ。暫くの間だけどな。勿論、学園長から許可も得てる。つか、なんだその変なあだ名
寺戯 長詠
寺戯 長詠
小さくて鋭く、危険そうだけど下手な真似をしなければ刃を向けないから“ナイフ”って意味じゃない?
多分その中に手入れされたナイフって事で“エレガント”って意味も含まれてると思う。
君、無駄に変なとこ高級嗜好だからね
中原中也
中原中也
うるせぇよ。別にいいだろ
ルーク・ハント
ルーク・ハント
君の言う通りだ。よく分かったね。
ムシュー・テレパシー
寺戯 長詠
寺戯 長詠
人の思考が読めるのかい?とでも言いたげな渾名ですね……。読めませんよ
ルーク・ハント
ルーク・ハント
そうかな?現時点で私の考えてた事を口にしていたが
寺戯 長詠
寺戯 長詠
考えなくてもそんな渾名付けられたら察しますって
苦笑いしながら言うと、羽付き帽子を被った生徒は「そうかい?」と小さく首を傾げた。
ユウ 監督生(仮姿)
ユウ 監督生(仮姿)
でもなんだろう。
テレパシーって……謎に納得
グリム
グリム
昨日もあのアズール達の思考を読み取ってたしな……。オレ様の考えもきっと読まれてるんだゾ
中原中也
中原中也
手前、そんなことしてたのかよ
少年達が小声で話をしていると、遠くから「ルーク!」と誰かの声が聞こえた。
ヴィル・シェーンハイト
ヴィル・シェーンハイト
何寄り道してるの。早く行くわよ
ルーク・ハント
ルーク・ハント
おっと。お呼び出しだ。もう少しお話ししたい所だけれど私は失礼するよ。機会があれば、今度はゆっくり君達のことを聞かせて欲しい。ではまた
羽付き帽子を被った生徒は笑顔で去っていき、グリムからは「面倒臭い奴に目つけられたんだゾ」と哀れみの目を向けられる。
中原中也
中原中也
気ぃつけろ寺戯。あの羽付き帽子野郎、結構しつこいぞ
寺戯 長詠
寺戯 長詠
実験対象に夢中な梶井さん並みに?
中原中也
中原中也
あぁ。実験対象に夢中な梶井並に
寺戯 長詠
寺戯 長詠
なら、警戒しておこう。
余計な所を見られては困るからね
止めていた足を動かし、教室に向かう。
中也は敢えて別のクラス……其れも三年のクラスに行くことになった。
流石に、魔力のない人間が連続で同じクラスに入れば違和感を抱く。
一クラスの人数が更に増えてしまう上に、一緒のクラスに居るよりかはクラスを別にした方が何か起きた時にそれぞれで確認出来る。
寺戯 長詠
寺戯 長詠
中也は何処のクラスだっけ
中原中也
中原中也
3の……Dだった筈だ。確か。
手前等は1のAだろ?
ユウ 監督生(仮姿)
ユウ 監督生(仮姿)
中也さん、色々あると思いますけど頑張って下さいね
中原中也
中原中也
寺戯が言うには来週は早速テストだろ?
めんどくせぇな……
ポートマフィアの五大幹部が二人して学校に通い、テストを受けなければいけない状況は中々に笑える気もする。
取り敢えず途中まで一緒に行き、廊下で中也と別れて僕と少年達は教室に向かった。
デュース・スペード
デュース・スペード
三人共。おはよう。最初の授業は魔法解折学らしいが、途中で寝るなよ?
眠たそうな顔してるが
魔法学校だけあって変わった授業が多い。
しかも、魔力のない自分からすれば出来ない授業も当たり前にある。
座学以外にも昨日やったような飛行術や、まだやっていないが体力育成もある。
寺戯 長詠
寺戯 長詠
(今日の午後にあるんだっけ)
そんな事を考えていると、最初の授業を担当する先生が入って来る。白黒のシマ先生だ。
クルーウェル先生
クルーウェル先生
仔犬ども。ホームルームを始めるぞ。
席に着け
取り敢えず最初の授業の準備をしていると、先生が目の前に立ち、小声で話し出した。
クルーウェル先生
クルーウェル先生
協力はするが、お前が何者であれこの学校にいる限りは一人の生徒として扱う。よく覚えておけ
寺戯 長詠
寺戯 長詠
……御協力感謝します
この後、魔法解説学の授業を受けたが、昨日学園長から貰った教科書が重くて嫌になる。

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