~健人side~
揶揄うつもりで言ったのに…マジで彼氏がいたとは…しかも朝帰りで目の下にクマ作ってて…
ま、そうだよな…
俺らもいい歳だし…あなたちゃん可愛いからとっくの昔に処女じゃ無くなってるよな…
俺は、あなたちゃんが目の下にクマ作って朝帰りした事や、今朝のやり取りを話した
そんなの分かってる
ムキになって言っただけだし…
顔も姿も知らない男に嫉妬しただけ
何でそんなこと菊池が分かるんだよ
あなたちゃんだって普通だったらあの場で彼氏いないって否定すんだろ
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仕事が終わり帰宅するとすぐにベランダに出てコッソリあなたちゃんの部屋を覗く
そして、自分の部屋に戻ると昨日と同様に窓は開け、網戸だけ閉めといた
暫くスマホを弄りながらゴロゴロしてると、あなたちゃんの話し声と共に煙草の匂いが漂って来た
誰と話してるんだ?もしかして彼氏と一緒にいるの!?
いや、でもあなたちゃんの声しかしないから…電話かな?
ま、もちろん聞き耳立てるよね
だって何話してるか気になるもん
電話の相手はあなたちゃんのお母様か
あなたちゃんのお母様も綺麗な人なんだよなあ
20年間会ってねえけど
主任!?あなたちゃんって主任なの!?
すげえ!キャリアウーマンじゃん!!
…え?
昨日…残業…?
まって…
あなたちゃん彼氏と一緒にいて朝帰りじゃなくて…
仕事してたの…?
ヤバイ…俺勘違いしてあなたちゃんに酷いこと言っちゃった…
そして電話が終わったのか話し声が聞こえなくなったタイミングで俺はベランダに出た
煙草を吸い終わったのか吸殻を灰皿に捨てると部屋の中に入ろうとするあなたちゃん
待って…まだ話してえ…
と、言いつつもシガレットケースから煙草を一本取り出せば火を付け煙を吐き出した
だからあの時悲しそうな顔してたんだな、あなたちゃん
ようやく辻褄が合った感じがする
ま、俺があなたちゃんに謝るなんて今までしたこと無かったからな
煙草の火を消すと部屋の中に入ってしまったあなたちゃん
でも、チラッと窓から顔を出すと…
と、一言だけ言葉を残し、窓が閉められた
やば…顔が勝手にニヤける
俺も自分の部屋に戻ると、嬉しさのあまり思いっ切りベッドの上にダイブした
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。