~あなたside~
健人くんが私の家にいる…
ぇ、待って待ってどーしよ
健人くんが私の家にいるんだけど!!
まだほとんど何も打ち込まれてないパソコンの画面を見せたら目が点になった健人くん
だってさ、なんで私が健人くんと女優のラブストーリー考えなきゃいけないのよ
自分とのラブストーリーだったらめっちゃ浮かんでくるくせに
と、企画書の冒頭部分の共演者の名前を見せる
昼間この名前打ち込むのにめっちゃイライラしたな…
他の人の唇なんて見ないでよ!!
なんて言えたらどんなに楽か
ま、私は所詮CMを作る側の人間
女優さんが羨ましいなんて言ってたらキリがない
健人くんが口紅なんて何に使うのよ…
なんて思いながら取り敢えず手渡した
ブツブツ何かを言いながらキャップを取りクルクル回して少し口紅を出させるといきなり顎を掴まれ健人くんの方へと向かせられた
重なり合う視線がドキドキと鼓動を高める
甘い声で囁かれたと思ったら私の唇に健人くんの手で口紅が塗られていった
今健人くんがしてくれたのをシナリオにして打ち込んでるけど…あのセリフ…他の女優に言って欲しくないな…
チラッと健人くんの方を見ると…健人くんの顔も真っ赤に染まっていた
ぇ、なに…?
自分で言っといて…照れてんの?
とか言いながら色々アドバイスくれたりした健人くん
意地悪なんだか優しいんだか…分かんないけど…
一緒にいるだけでドキドキする
そして、そんなこんなであんなに煮詰まってた企画書だけど…健人くんのお陰で無事、完成しました
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。