第8話

少しでもキミに近付きたくて
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2021/05/17 12:08
~健人side~



素直になれるように頑張るって言ってもなあ…
喧嘩しかして来なかったから今更素直になるとか…



菊池が帰ったあと、何となく外の空気が吸いたくなってベランダに出た


すると、ふと隣から香る煙草の匂い



もしかして…あなたちゃんの男!?



俺はベランダから身を乗り出すと、下に落ちないように気を付けながら隣のベランダを覗き込んだ



中島健人
中島健人
ぇ、あなたちゃん!?
私
は?健人くん…?って何してんの!?危ないよ!?



男かと思ったら煙草を吸っていたのはあなたちゃんだった

ってか…あなたちゃんって煙草吸うの!?



私
何ボケーッとしてんの!?早く降りなってば!!
中島健人
中島健人
お、おう…


あなたちゃんの声でふと我に返ると身体を引っ込めて降りた

すぐ隣にあなたちゃんがいるのに…壁が邪魔…

ぁ、そうだ…



中島健人
中島健人
ちょっと壁から離れててくんね?
私
ぇ、なんで…ちょ、健人くん!?


俺は非常時に破るベランダの仕切りを思いっ切り蹴破った

よし、これで壁は無くなってあなたちゃんの顔が見える


本人はめっちゃビックリしてるけど笑



私
ちょ、何してんのよ!?
中島健人
中島健人
邪魔だからぶち破いた
私
ここ出るときお金かかるじゃん!
中島健人
中島健人
俺が払うからいい


てか、引っ越す気ねえけど
ま、これで少しはあなたちゃんに近付けたかな






中島健人
中島健人
煙草…吸うんだな
私
まあね、
中島健人
中島健人
似合わねえな笑
私
うるさい、ほっといて


煙草を咥えるあなたちゃんの唇がなんか色っぽくて…見とれてしまう


私
なによ、女のクセに煙草吸ってるとかどうせ思ってんでしょ
中島健人
中島健人
んなの思ってねえよ
別に良いんじゃね?煙草吸っててもお前は可愛いんだし
私
は…?何言ってんのよ急に
中島健人
中島健人
冗談だよ、真に受けんなチビ


やべ…つい本音がポロッと…
あなたちゃんはサラッと流してる感じだけど…


私
あっそ


それだけ言うと煙草を吸いながらスマホに目線を落としたあなたちゃん

ぁ、そーだ…



中島健人
中島健人
なあ、スマホ貸してくんね?
私
は?何でよ
中島健人
中島健人
良いから、早く
私
ん、


渋々俺にスマホを手渡すとフリフリ機能でLINEと、俺の電話番号を登録しといた
あとついでに俺のスマホにもあなたちゃんの電話番号を登録するの忘れずにね笑


中島健人
中島健人
はい
私
何したのよ
中島健人
中島健人
俺の連絡先…登録しといたから
あとお前のも
私
は?別にそんなん必要無いでしょ
中島健人
中島健人
菊池とも交換したんだろ?
私
まあ、したけど…
中島健人
中島健人
だったら別に俺ともしても良いだろ
私
あんま使わないと思うけどね


そんなこと言うなよ…
俺は四六時中お前とやり取りしてえよ


中島健人
中島健人
なあ…煙草って美味いの?
私
さぁ?ストレス解消の為に吸ってるだけだから
中島健人
中島健人
それ、一口吸わせてよ
私
だめ、健人くんは歌う仕事してるんだから絶対にだめ
中島健人
中島健人
一口くらい良いじゃん
私
健人くんはキレイな歌声してるんだから大事にして
中島健人
中島健人
え…?
私
真に受けないでよね、バカ


それだけ言うと煙草の火を消し部屋の中に入って行ってしまった



関節キス出来るかな…って思ったけど…
歌声を褒めて貰えた事が何よりも嬉しかった


何か仕返しされた感じもするけどね笑

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