ビルの上に着地した俺はスグに連絡を取ろうと、トランシーバーを手に取る。
すると、俺が話し始める前に慎の声が聞こえてきた。
葉月ちゃんに注意されて静かになった慎を俺は笑う。
まぁ、こんな風に緊張すべき場面でもゆるりとやっていけるくらいが気楽でちょうどいいのかな…。
すると、見ていた風景の下から葉月ちゃんがいきなり飛び出してきて、ビルの端に降り立った。
そんなことを半笑いで呟くと、葉月ちゃんはトランシーバー片手にビシッと敬礼をして笑う。
笑いながら言われたのは「飛んでる途中に見えたので着地してスグに走って来た!」という敵に見つかったらどうする気だったのか心配になる内容。
葉月ちゃん、意外と積極的なチャレンジャーかも…
ミシッ…と葉月ちゃんが立つ場所のコンクリにヒビが入ったと思うと、突風と共に葉月ちゃんの姿は消え、毎宝ビルに向かう後ろ姿が小さく見えた。
ヒビが入ったコンクリを眺めながらそんなことを呟いていると毎宝ビルの方から慎の悲鳴に近い叫び声が聞こえてくる。
屋上に戻って来た葉月ちゃんは慎を担いでいた。
カンッと音とともにトランシーバーが屋上に転がる。
葉月ちゃんは散々な言いように頬を膨らませると慎を"雑"に地面に降ろす…ってより落とした。
学校の頃は知らないけど、口調とか色々聞いてて率直に「慎って元ヤン?」って聞きたくなる。
別にそうだからどーなるとかは無いけど。
さて…集まったことだしそろそろ攻撃したいけど〜…
地図を取り出して、1箇所を指しながらやるでしょーと自慢げに胸を張る葉月ちゃん。
一緒にいたはずの慎が何処か悔しそうに見えるのは多分気の所為じゃないけど気の所為にしておくとして…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。