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第54話

XXの時間 Ⅵ
ユリ
あれ?捺祢、千早ちゃんはいづこ?
瀬戸口せとぐち りゅう
ほんとだ、いないじゃん。
くれ 葉月はづき
確か丸つけしてもらって〜…てか、何でユリちゃん昔風?
言われてみれば、当たり前のように千早は教室を出て行ったが、他の奴らは全員教室にいる。
探索に向かったのか、トイレか何かか、はたまた教室から出るのだと思ったのか…

古語で話しかけられた捺祢は本を読んだままで顔は上げなかったが、大きく漏れた溜息からは完全にめんどくさい、ダルいといった感情が感じ取れた。
音羽おとは 捺袮なつね
…室を出でゆきき。次の所ならむ。先に行きしところで何かこうずるよしにもあらず追ひかくる要も無し。
ユリ
……。
千島ちしま 瑞樹みずき
答えられんのかよ…
瀬戸口せとぐち りゅう
ほら、集中集中!そんな周りに気ぃ取られてるとどんどん時間経つぞ。
分かってる。分かってるけど、この問題ヤバいって。
何で周囲の奴らはこんなの解けんだよ。
学校で習ったことの応用がなんちゃらって前に問題を理解すること自体に苦しむ。何だこれ。は?
カンニングしようにも俺の能力は使えねぇし、と言って俺は東みたいに素手でどうにかなる力も無い。
無理じゃね?誰かヒントをくれ、ヒントを。
ユリ
高三の人、頑張って〜!まだ一人も来てないよ?朱音ちゃんはポッキリしちゃったからーあと達也君と暁君?犬猿の仲が残ってるじゃんって…暁君、寝てる?
碑賀ひが あずま
寝てる。
瀬戸口せとぐち りゅう
しかも、ぐっすりとね。
ユリ
捺祢!
音羽おとは 捺袮なつね
はいはい…
うるさっ…と呟く捺祢は本に栞を挟んで歩き出すと、代々木先輩の横で足を止める。
つじ 林太郎りんたろう
えー、普通に起こしてあげるなんて優しくありません?ほっとけば、勝手に死んじゃうのに。
成瀬なるせ 冴羅さら
暁君はそう簡単に死なないもん!ゴキブリ並みの生命力を兼ね備えている最強のサボり魔って前に暁君、言ってた!
つじ 林太郎りんたろう
ま、待って!え、ゴキブリ?自分で自分のことゴキブリって言ってんの!?
成瀬さんの反論に教室は騒然。
ネタに走っている代々木先輩の発言に笑いそうになっている俺の集中力はどんどん下がっていく。
千島ちしま 瑞樹みずき
マジで時間無くなるんだけど…!?
音羽おとは 捺袮なつね
俺の仕事を増やすな。さっさと起きろ。
代々木よよぎ あかつき
ぐっ……!!
バン!!と大きな音が教室で鳴り、代々木先輩から呻き声が漏れる。
顔を上げると代々木先輩は痛てぇ…と頭を抱え、その横の捺祢は代々木先輩の反応に表情一つ変えることなく本の栞を取りながら教室の前へと向かった。

本で思いっきり頭を叩かれたのか…可哀想に……
代々木よよぎ あかつき
アイツ〜…ゴキブリ並みの生命力を兼ね備えている最強のサボり魔がこんなチョロ問題で死んでたまるか!テストの時間は昼寝の時間、常識だろ!
音羽おとは 捺袮なつね
分かった分かった…
福冨ふくとみ 一霖いちりん
言ってる内容、凄い駄目な人の発言…
くれ 葉月はづき
しーっ…それ言ったら駄目なやつ…
代々木先輩の方からカカカッとシャーペンの音が煩いくらいに聞こえてくる。
俺は遂に無理だと悟って、座ったまま手を挙げた。
持っていた模範解答で鶴を折っているユリが俺に気付くと、不思議そうに首を傾げる。
ユリ
どうしたの?
千島ちしま 瑞樹みずき
ギブ。ヒントをください。
ユリ
凄いどストレート…君にプライドというものはないのかー!
千島ちしま 瑞樹みずき
ない。カンニング出来る自信もない。能力的に無理がある。
ユリ
えぇ〜…
成瀬なるせ 冴羅さら
同じく欲しいです!
ユリ
うっ、どストレートが二人目…ヒント、ヒントねぇ…あんな堂々と言うのはきっと恥ずかしいだろうし、可哀想だからあげるかぁ…
俺の事を凄い哀れみながらユリは立ち上がると、黒板に一つの数式を書いた。
ユリ
解き方は三通りくらいあるけどー、一番簡単なやつの一番最初に立てるべき式。この数式がどうして出てくるのかを理解できたら、少しずつ潰して解けるはず。てか、解けてもらわないと困る。
音羽おとは 捺袮なつね
へぇ…ユリにしては良いヒントじゃん。
ユリ
うわっ、ユリに“しては”って酷い!捺祢より頭いいし!
音羽おとは 捺袮なつね
醜き言ひ訳はやむべしと思ふ。我が今話せる言の葉など理解せられたらざらむ。世に関せばなんぢよりは我の方よく知りたり、すましし顔に付き合ひゆくべし。なんぢはさかしくなる前に世の中を知るかな。
ユリ
…全く何言ってるのか分からないけど、取り敢えず、馬鹿にされているような気はした!
音羽おとは 捺袮なつね
正解。よく分かったな。一つの物事に集中するのもいいし、天才になるのも別にやめろとは言わないが、集中し過ぎは良くない。たまには周りも見ろ。
捺祢の本を読みながらの言葉を聞いたユリは数秒間捺祢を見た後に本を奪い取り、思いっきりその頭に叩きつけていた。
ユリ
うっさい!ばーかばーか!!!もう天才だし!!
音羽おとは 捺袮なつね
……はぁ…
ユリ
ほら、ヒントあげたんだからさっさと解いちゃってよ!時間短縮するよ?
笧三しがらみ たく
解けた。
拗ねたユリにテストを持っていく笧三。
俺は減っていく同士に焦り、プリントにヒントを写すと言われた通りにどうしてこの数式が出てくるのかを考え始めたところで隣の龍が東に声をかける。
瀬戸口せとぐち りゅう
醜い言い訳はやめた方が良いと思う…俺が今話している言葉とか理解出来てないだろ…世間に関してはお前よりは俺の方がよく知ってるし、すました顔で付き合っていける…お前は賢くなる前に世間を知るんだな……なっ、これって何か意味深じゃね?
碑賀ひが あずま
さぁな。俺はその意味深よりもお前の頭がもっと悪くなって欲しい。
瀬戸口せとぐち りゅう
ひでぇ…