第35話
XXの真偽 XXⅡ
着地と同時に私は地面を蹴ると、飛んでいった慎君を追いかけて建物の上を猛スピードで走り、スグに慎君と合流した。
私の意見を流した慎君はトランシーバーを使って龍君に居場所を聞いた。
あー、私達の場所も伝えた方が良いよね…
一緒になってた龍君に言われて、慎君は無言でじっとトランシーバーを見つめた。
…で、ほんと慎君の身長はどうでもいいんだけど。
今回の相手は聴覚と平衡感覚、バリア、力の向き。
多岐先輩は一度龍君が追い詰めたし、攻撃よりサポートだからそこまで心配ないけど、問題はあとの2人。
捺祢君は物理的な攻撃以外なら効くって言ってたけど私達のチームにそういう人はいない。
物理的な攻撃でどうにか出来ないかなぁ…。
でも、拓君の戦い方って……
笧三君と代々木先輩の対戦を見てて私は思った。
何で人間を飛ばさないんだろう?って。
弱音ばっかり吐く慎君に呆れたところで私達の前にトランシーバーを持っている龍君が現れた。
走ってきたのに息一つ切れていないのは流石、空手部で毎日鍛えたんだなって気がする。
その時、慎君が口にしたのは最初は少し子供っぽい作戦だったけどあとの方にはちゃんとしたその子供っぽいことに意味があって少し驚いた。
私はそう返事をすると、国木田先輩を探す為に空高くに飛び上がった。
多岐先輩を思い出して空で靴と靴下を脱ぎながら、街を見ると大きな高校…青峡高校の校庭、青峡高校に向かう道に1人ずつ誰かがいる。
あれかな?
校庭にいる人には私が見えたよね…
遠いから靴を脱いだことはバレてない、はず…
駄菓子屋から少し遠くの道で靴を片手に空いてる手で持っているトランシーバーに向けて話すと、イヤホンから2人の了解という声が聞こえてくる。
煽ったりしてもめてることしかないけど、何だかんだで最後はやってくれると思う、龍君と慎君なら。
それなら…私もその2人を見習って頑張ろう。
そんなことをぼんやりと思うと私は地面を蹴った。