第44話
XXの実力 Ⅲ
私がいるのは綺麗な花が咲いている“花園エリア”。
こんな広い公園で合流は難しそうな気がするけど、一応出来るならしときたい。
電話みたいなノリで会話が終わると、私は花園の花を見ながら園内の探索に向かった。
ユリちゃん、凄い眠たそうだったから最初の位置からあまり移動しなさそう…
そこに行っていなかったら隠れる場所が多そうな家族エリアとわくわくエリアを探そうかな。
普通にいた……
ユリちゃんは4つのエリアに繋がる“中央広場”にあるベンチでウトウト…というよりほぼ寝ていた。
手にサバイバルナイフを握った状態。
拳銃は相手に拓君がいるから使わないはず。
何かズルいような気がする〜…
あまりにも無防備過ぎて、寝ているのを叩きに行っちゃって良いのか分からなくなる。
数分の間、その場で寝ているユリちゃんを眺めていると右の方から足音が聞こえてきた。
視線を移すとそこには拓君がいて、ユリちゃんを見るなりほんの少し表情を顰めて立ち止まる。
先に決着をつけようと私は地面を蹴ると、ユリちゃんを本当の意味で無防備にする為にナイフを奪おうと手を伸ばす。すると…
パッと起きたユリちゃんはぴょんとジャンプしベンチの背もたれにしゃがみながら立つ。
スピードを下げることが出来なかった私は見事、突進して頭をベンチの背もたれに強打した。
欠伸をしながらニコニコとユリちゃんが笑う。
私は座り込んだ状態でユリちゃんを見上げると、ユリちゃんの背後から首に向かって2つの手が見えた。
飛びのけたユリちゃんは私の背後へ。
殺されないように慌てて立ち上がったところで初めてユリちゃんと対峙した。