第27話

XXの真偽 VI
128
2020/04/18 22:12
笧三しがらみ たく
『生きてる?』
国木田くにきだ 達也たつや
ああ、問題無い。全部防いだ。
目に見えない壁の上に乗った瓦礫。

俺は意識で壁の形を操作して、瓦礫をコンビニの駐車場の端へと寄せる。
笧三しがらみ たく
『碑賀は未来予知で生きてる可能性が高いから、先に俺が探して潰す。』
多岐たき 朱音あかね
『未来予知って勝てるの?』
笧三しがらみ たく
『……死ぬ未来を見せるまで。』
ブツッと音がして笧三の声が消えた。

イヤホンからは少し呆れたような多岐の笑い声が聞こえてくる。
多岐たき 朱音あかね
『いやぁ、凄いなぁ…あ、国木田君。』
国木田くにきだ 達也たつや
何だ?
多岐たき 朱音あかね
『今、歩いてる?』
国木田くにきだ 達也たつや
止まっているけど…
多岐たき 朱音あかね
『なら、誰かが近付いている可能性があるよ。ベートーヴェンだし無理だと思っていたけど、やってみたら聴覚の性能を上げることが出来た。コンビニの方に近付く足音が聞こえる。』
国木田くにきだ 達也たつや
分かった、警戒しとく。
多岐たき 朱音あかね
『了解。じゃ、私は他のところも見に行くね。敵の位置とか出来る限りのサポートはする。』
トランシーバーをしまい、ここから動くべきか動かないべきか考えていると悪寒がして振り向く。

すると、そこには…
代々木よよぎ あかつき
ははっ……ごめん、無理っぽい。
国木田くにきだ 達也たつや
代々木暁…
代々木よよぎ あかつき
んー、そんな感じ…死んだらごめん。
ぬいぐるみを片手で鷲掴みにして、溜息混じりにトランシーバーに話しかける代々木。
代々木よよぎ あかつき
国木田と交差点近くのコンビニ前で遭遇した。
多岐が言っていたのは代々木のことか…
数歩下がると、代々木はトランシーバーをしまい、持っていたドラゴンのぬいぐるみを持ち直す。
代々木よよぎ あかつき
いやぁ、デジャヴしかねぇなぁ…
国木田くにきだ 達也たつや
……。
代々木よよぎ あかつき
団体戦って仲間との協力、だろ?お前、他の奴はどうした?
国木田くにきだ 達也たつや
……答える義務が無い。
代々木よよぎ あかつき
だろうな。知ってても知らなくても言わなそう。本当なら碑賀と合流したいところだけど、逃がしてくれなそうだ。
おい、と代々木がぬいぐるみに声をかけると代々木の顔を見たドラゴンは尻尾を振り、俺を見る。
代々木よよぎ あかつき
行け。
国木田くにきだ 達也たつや
!……
──── 結界。

目に見えない透明の壁がドラゴンのぬいぐるみが吐いた炎を防ぐ。

ぬいぐるみは代々木の元を離れて俺に襲いかかって来るが、壁によってそれも阻まれる。
代々木よよぎ あかつき
当たんね〜…結界とか無理ゲー?
国木田くにきだ 達也たつや
どうだか…
完璧、最強なんて存在するのか。

どんな物にも何かしらの欠点があるものだ。
代々木よよぎ あかつき
もう1回…
ドラゴンの口の中が赤く光る。

結界で身を守ろうと意識した時、耳にしていたイヤホンからザザっという音が聞こえてきた。
多岐たき 朱音あかね
『国木田君!もう1人近付いてる!!』
もう1人?誰だ、碑賀か?それとも四月一日か?
赤い光は大きくなって一気にこっちに向かってくる。

再びその攻撃を結界に受けようとした時…
代々木よよぎ あかつき
あっつ!!!!
炎は向きを変えて代々木に襲いかかる。

ドラゴンが吐くのをやめるとその炎を鋭い爪で切り裂いて代々木は何とか守られていた。
この能力は…
笧三しがらみ たく
……多岐、それ俺。碑賀を殺るつもりだったけど炎が見えた。
トランシーバーを片手に持ち、片方の手の指先を代々木に向ける笧三。
多岐たき 朱音あかね
『あ、そう?じゃあ問題無い?』
笧三しがらみ たく
問題無い、ここで俺が代々木を戦闘不能にさせる。多岐は碑賀と四月一日の居場所探しといて。ここを片付け次第、潰しに行く。
多岐たき 朱音あかね
『分かった、任せて。』
トランシーバーをしまうと、笧三はコンビニの端にある瓦礫と俺を見比べた。
国木田くにきだ 達也たつや
何か作戦あるのか?
笧三しがらみ たく
潰すだけだから特に無いけど…あの瓦礫を浮かせること出来る?
国木田くにきだ 達也たつや
…やってみよう。
代々木よよぎ あかつき
チッ…
ドラゴンの攻撃を笧三が全て他の方向に動かす。

その間に俺は瓦礫の前に行くと、瓦礫の下に結界を張ってその結界を上に持ち上げてみた。
国木田くにきだ 達也たつや
いける。
笧三しがらみ たく
もっと持ち上げて落として。俺の能力は重力には負ける。上以外しか動かすことが出来ない。
国木田くにきだ 達也たつや
……。
結界をさらに上に持ち上げる。

結界の端からパラパラと降ってくる瓦礫の破片は腕で守るしかない。
国木田くにきだ 達也たつや
落とすぞ、笧三。
笧三しがらみ たく
ああ。
結界を解除する。

大きな瓦礫が降り注ぐ中、笧三は腕を前に出すと指を瓦礫に向けた。
笧三しがらみ たく
代々木、あんたはここで終わりだ。
片方の指先は真っ直ぐ代々木を。

もう片方の指先は素早く振って代々木を。


…浮いた全ての瓦礫が代々木を全方位から襲う。
代々木よよぎ あかつき
はっ、こりゃ無理だわ。
ボコオォォォォォォォン!!!!!!!!

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