第37話
XXの真偽 XXⅥ
多岐先輩が降参したところで試合終了。
楠木の知恵のおかげ……というより、呉の気合いのおかげでAチームの勝利。
奇想天外な考えを持ったBチームの誰かの意見で隕石を落とされ、何も出来ずにあたし達は死亡。
気付いた時には競技場にいた。
このまま2連敗…というのは負けが近くなるから避けておきたいところ。
体が浮き、四方八方に飛ばされる。
飛ばされて誰かと合流して相手と戦う。
………今回もそうだと思っていた。
開始の合図。そして、みんなの浮いた体がそれぞれの飛ぶ方向で動こうとした時…
赤い光に熱い風。
飛ばされる寸前に代々木先輩が持っていたドラゴンのぬいぐるみが火を吐いた。
火は東堂に直撃、それで大丈夫なのかどうかは飛ばされたあたしには分からない。
近距離であの火力は死なずとも大火傷は負うはず。
東堂はもう戦力にはならないと思った方がいいか…
負けたくはないけど…その覚悟はしておこう。
私の中で1番大切なのは自分の命。で、自分の命が守れた上で余裕があれば近くの人。
自分の命を守ることで精一杯の時は……
独り言を呟くと、あたしは七佐ビルの屋上に着地。
場所を深海さんに伝える為、トランシーバーを出して、電源を入れた。
そこで会話は終わった。
開始数秒でこっちが不利に。
てか、東堂が役立たな過ぎてイライラする。
何であんな使えないのが個人戦で生き残ったわけ?
ほんと、アイツの思考が分からない…
そう頭を抱えていると、背後のドアが開いた。
三冠デパートから七佐ビルまでは大体10分はかかる。
呉みたいな能力じゃない限りこんな早くに着くことは絶対にありえない。
つまり、今後ろにいるのは深海さんではない。
となれば、背後は誰か。
飛ばされた方向と敵である碑賀、四月一日、代々木先輩の思考から考えて敵に対して1人で倒しに行こうと思い行動に移すのは…
碑賀東、こいつくらいだ。