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第22話

XXの開花 ⅩⅩⅦ
多岐たき 朱音あかね
躊躇するなら私からいくよ。
瀬戸口せとぐち りゅう
うっす。
多岐先輩の言葉に龍が返事をしたと思った途端、龍はその場に膝を着いた。
福冨ふくとみ 一霖いちりん
あれ?龍君、どうしたんだろ?
深海ふかみ みぞれ
ベートーヴェンと言えば途中で難聴になったことで有名な作曲家です。彼は大変苦労する中、かの有名な運命を作曲しました。まぁ音符の具現化とか非現実的なことを除くと能力は難聴と考えられますので瀬戸口君の様子を見るに平衡感覚を失わせる、ということでしょうか。
福冨ふくとみ 一霖いちりん
な、なんちょ…運命?音符、能力、難聴…へいこー?
楠木くすのき しん
おいおい、落ち着けって。
長い説明に一霖が混乱し始めているのを見て慎が軽く一霖の頭を叩きながら笑う。
瀬戸口せとぐち りゅう
平衡感覚、かぁ…これ、治癒じゃどうしようもないことだと……
瞼を閉じて手を地面に着け、ボソボソと呟く龍。

見ていると体を地面に対して垂直に保つことだけで精一杯になっている気がする。
瀬戸口せとぐち りゅう
あ〜…無理無理。なぁ、ユリちゃん。
ユリ
はいはーい?降参?
瀬戸口せとぐち りゅう
いや、まだだ。ほら、俺の能力ってさ、怪我しないと使えないじゃん?サポート向けの力だし。
ユリ
うん。
瀬戸口せとぐち りゅう
俺にもさっきの慎みたいに何か殺傷能力ある武器貸してくれない?勿論、相手に使うつもりはない。普通に女に手を挙げる奴は嫌だし。
龍の言葉にユリは数秒笑顔のまま悩むと、龍の相手である多岐先輩を見た。
ユリ
う〜ん、朱音ちゃんはどう?朱音ちゃんがいいなら貸すつもり!
多岐たき 朱音あかね
構わないよ、確かに不平等だしね。
ユリ
ん、じゃあ朱音ちゃんも良いってことだし龍君にも特別ルール採用!!
ユリ
そ〜れっ!!!
ユリが穴の空いたポップコーンの箱の底に手をやる。

そして、投げたのは…拳銃だった。
音羽おとは 捺袮なつね
平衡感覚無い人に投げても届かないに決まってるでしょ。
フィールドに落ちた拳銃を拾い上げた捺袮は少し歩くと龍の目の前に拳銃を置く。
音羽おとは 捺袮なつね
再開。
多岐たき 朱音あかね
…瀬戸口君、拳銃を持ったところで何になるの?私に向かって撃てないのに。
瀬戸口せとぐち りゅう
まぁ、見ててくださいっす…今度こそ…
拳銃を手にした龍は劣勢な状態にも関わらず笑った。
瀬戸口せとぐち りゅう
──── "命懸け"でやってやる。
くれ 葉月はづき
え、嘘でしょ?
楠木くすのき しん
龍、あいつ…マジかよ…
千島ちしま 瑞樹みずき
自ら戦闘不能になる気か?
龍は笑って銃口を自分の耳の穴に向けていた。

狂っているのか、正気なのかは分からない。

でも、その目は真剣で本気でやる気だというのは見て取れる。
瀬戸口せとぐち りゅう
これで終わる。
パァンッ!!!!
碑賀ひが あずま
おいっ!!龍!!!
自殺をするとは思わなかったのか、東は立ち上がり大声をあげた。

隣で目を塞ぐ一霖に下を向いて耳を塞ぐ呉さん。

そして…………珍しく笑った千早…?
千島ちしま 瑞樹みずき
何が可笑しいんだよ。
本能寺ほんのうじ 千早ちはや
はぁ?あそこまで覚悟のある奴はそうといない。楠木のは途中でやめることが可能だったしね。ほら見て。
千島ちしま 瑞樹みずき
俺は死体なんて見たく…
本能寺ほんのうじ 千早ちはや
何言ってんの。見ない方が損だって。
愉快そうに笑う千早が俺の頭を掴むと強制的に龍を見るように向きを変えた。

目を閉じようとした寸前、見た光景に俺は閉じようとしていた目を見開く。
千島ちしま 瑞樹みずき
………は?
俺が見たのは何故か頭を撃ち抜いたはずの龍が走って多岐先輩に向かっている姿だった。
千島ちしま 瑞樹みずき
何で…今、頭撃ち抜いたんじゃ……
本能寺ほんのうじ 千早ちはや
あんた、あいつの能力忘れたの?
千島ちしま 瑞樹みずき
分かってるけど…
本能寺ほんのうじ 千早ちはや
ったく、頭硬い。撃ち抜いたんだよ、平衡感覚を司る三半規管を。で、脳に当たる前に治したってこと。
そうか、そういうことか。

龍は少しでも失敗したら撃ち抜いて死ぬ可能性を見越した上で"命懸け"で多岐先輩の能力を攻略した…

確かに治せば平衡感覚も戻るだろうけど……
千島ちしま 瑞樹みずき
一か八か過ぎて出来ないだろ、普通…
本能寺ほんのうじ 千早ちはや
それがあいつは出来る、凄いよ。これにはこのあたしも笑う。
多岐たき 朱音あかね
うわぁ…流石だね。
もう龍に多岐先輩の能力は効かない。

崩れそうになる度、龍は耳を撃ち抜いた。

2人の距離が詰まった時、多岐先輩の表情に諦めの色が現れる。
多岐たき 朱音あかね
こりゃ、私の降参だわ。
瀬戸口せとぐち りゅう
っ……
多岐先輩の降参と同時に倒れた龍。

審判員である捺袮が堂々とため息をついた。
音羽おとは 捺袮なつね
めんどくさい終わり方しないで欲しいんだけど…。ユリ、この場合は?
ユリ
朱音ちゃんが降参、龍君が戦闘不能…。両方負けってことでいいよ!
音羽おとは 捺袮なつね
じゃ、そういうことで。
四月一日わたぬき 柊也とうや
凄い雑な終わり方ですね…
酒葉さかば みのり
まぁ、確かに審判からしたらあれはめんどくさそうだもん…
多岐たき 朱音あかね
瀬戸口君、終わりだよ。起きて。
瀬戸口せとぐち りゅう
別に寝るつもりないんすけど…
苦笑しながら起き上がった龍。

凄い気分が悪そうで多岐先輩が首を傾げる。
多岐たき 朱音あかね
船酔いするタイプ?
龍が頭を傾け、指を突っ込むと耳の穴からポロポロと銃弾が何発も出てきた。

それを見て多岐先輩は固まるが、龍は気にしてないのか冗談っぽく笑い…
瀬戸口せとぐち りゅう
傷は治せても銃弾が残りっぱだったんでめっちゃ気持ち悪かっただけっす。
瀬戸口せとぐち りゅう
別に、船酔いはしませんよ。