第2話
XXの始まり
やっと4時間目の体育が終わる。
俺達が通う篠北高校は週1で給食だった。
そして、今日がその給食の日。
校内にいい匂いをばらまかれ俺の空腹も最頂点に達していた。
いつもの給食。
だけど、少し違う味がしたような気がした。
今日のカレーは隠し味が違う?
まっ、聞いたところで隠し味だから教えて貰えるわけないか。
昼休み。
みんなが騒ぐ教室で俺は一霖とスマホゲームで対決していたが、一瞬軽い頭痛がした。
頭を押えてる一霖。
何だ…一霖も同じタイミングで頭痛とか…
俺達はスマホをしまって、立ち上がる。
そして、教室を出ると屋上へ。
一霖が何故か照れ臭そうに頭を搔く。
屋上から教室に向かう……が、さっきまで沢山の声が聞こえていた校内がやけに静かだ。
俺達の足音以外何も聞こえない。
2年生の廊下に着いた時、聞こえた女子の悲鳴。
その悲鳴に俺は自然と走り出していた。
場所的に隣の教室だな…!
そう告げた教室の入口付近に座り込む呉さんは涙目でガタガタと震えていた。
それに驚いてる俺の鼻にツンとした鉄の匂い。
教室の状態を一言で表すなら、赤。
壁や床が真っ赤に染まり、生徒が倒れている。
もう息をしていないのは見るだけで分かった。
遅れてやって来た一霖を教室から離す。
俺も十分精神がまいりそうなのに、臆病な一霖ならこんな光景に耐えられるはずない。
嫌な予感が当たらないことを願いながら、俺は自分の教室に走り込む。
すると、入った途端俺は盛大に滑った。
ぺちゃっ…という音と共にまた視界に赤が映る。
手を見ても赤、横を見ても赤、赤、赤……
目の前に立った女子から手を差し伸べられる。
俺は顔を上げて、その女子の名前を呟いた。
俺は千早に手を伸ばしたが血塗れで一瞬握るのを躊躇した。
しかし、千早が痺れを切らして俺の手を掴むと立ち上がらせてくれる。
廊下に出たところで廊下で教室を見ないように待っていた一霖と呉さんがこっちにやって来た。
千早が冷静に言うと、校内放送を知らせるチャイムが鳴り響いた。
短い放送が終わり、校内に静寂が戻る。
一人で先に体育館に向かおうと歩き出した千早を俺は止めた。
嫌そうな表情をしたが、何とか止まってくれた。
俺は怖がる一霖の腕を引っ張り、呉さんに声をかけると4人で体育館に向かう。
体育館に着き、中に入ると4人の男女がいた。
どの人も見たことある人達で特にその中の1人は部活仲間の奴だ。
俺達が入ったと同時に体育館の鍵が閉まる。
そして、壇上に女子と男子が立った。
静かな印象を与える男子が呆れたように冷ややかに告げると、明るい笑みを浮かべる女子はわざとらしく舌を出してみせる。