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第23話

XXの開花 XXⅨ
席に戻ると千早が何故か揺れていた。
千島ちしま 瑞樹みずき
ち、千早…?
酒葉さかば みのり
あっ…ちょっ、せんぱ ─────
千島ちしま 瑞樹みずき
うぐっ…
腹にきた千早の強烈なパンチに俺はすぐにその場にしゃがむ。

遠くの方で龍の笑い声が聞こえたような気がしたが、その笑い声はすぐに止まった。
楠木くすのき しん
うわっ、アイツくっそ叩かれて…
福冨ふくとみ 一霖いちりん
それより瑞樹!?大丈夫!?!?
千島ちしま 瑞樹みずき
何とか…生きてはいる、はず……
本能寺ほんのうじ 千早ちはや
はぁぁ…せっかく、つまんない試合ばっかで寝れそうだから寝てたのに…全くあんたって奴は……
腕を伸ばし欠伸をした千早。

オドオドしている酒葉さんを見るにさっきのは俺を止めようとしてくれてたようだ。


こんな時に眠いからって睡眠?

いや、どう考えても今の俺の殴られる理由には…
本能寺ほんのうじ 千早ちはや
何。
千島ちしま 瑞樹みずき
…すいませんでした。
本能寺ほんのうじ 千早ちはや
ったく…
楠木くすのき しん
こいつ、弱くね…
福冨ふくとみ 一霖いちりん
ま、まぁ、千早ちゃんだから…
楠木くすのき しん
それにしてもすぐに謝って…
福冨ふくとみ 一霖いちりん
しーっ…しーっ…!
くれ 葉月はづき
2人ともやめてあげて、可哀想…
慎と一霖の会話を止めてくれた呉さんだが、俺からしたら最後の"可哀想"が1番痛い。

小さく溜息を零しながら振り返ると、次の試合が始まろうとしていた。
音羽おとは 捺袮なつね
第十九試合、深海霙 対 多岐朱音。
音羽おとは 捺袮なつね
始め。
福冨ふくとみ 一霖いちりん
あ、あっ〜!試合始まったよ!
楠木くすのき しん
お、応援しねぇとな!!
千島ちしま 瑞樹みずき
お前ら…
もう呆れきって何も言うことがない。
多岐たき 朱音あかね
まぁ、体の平衡感覚を奪ったところで私の不利に変わりはないんだけどね。
始まるなり、先輩は地面に座り込む。

多岐先輩はどうしようか、と動けない先輩を見ながらゆっくりと考えていた。
多岐たき 朱音あかね
近付いても本人の表面に氷でも出現させられたら私が一瞬で氷漬け…あー、やだやだ。寒そう。
ユリ
何かみんな忘れてるみたいだけどねー
ポップコーンが無くなってから静かになったユリが何かを思い出したように口を開く。
ユリ
別に殺しても大丈夫だからね?死んだからっていって簡単に屍になるわけじゃないし。ゲームに負けた時が屍になるときなんだから。
四月一日わたぬき 柊也とうや
これ、どういうルールなんでしょうか…どうやったらゲームに勝つなんて言われてないですし…
四月一日君が小さな声でそう言うが、どうやら俺以外には聞こえなかったようだ。


四月一日君もこのゲームの勝利条件が知らされてないことに気付いてたのか…
俺と先輩と四月一日君は気付いているけど、他の人達はまだ気付いていない。

他校の人は分からないけど…広められて騒ぎになったらあのユリだとすぐに人を殺しそうな気がする。

取り敢えずは広めないのが一番か…
多岐たき 朱音あかね
良いのなら殺るけど…
先輩に近寄った多岐先輩は手を前に出すとそのまま首を締め始めた。

身の危険を感じたのか先輩は多岐先輩の手首を掴む。
多岐たき 朱音あかね
冷たっ…!!って、まさかの自滅?
本能寺ほんのうじ 千早ちはや
あの人、やってること逆効果じゃん。
福冨ふくとみ 一霖いちりん
あれじゃ、先輩が…
多岐先輩の手は先輩に能力を使いながら掴まれたから…自分の首を締める形のまま氷漬けにされ先輩が自滅する方向に向いていた。
教えようにも教えたらコーチングに…
千島ちしま 瑞樹みずき
……。
結局、先輩は首を締められ気を失ってしまった…


目の前で殺されていくのに何も出来なかった。

もしこれが生き返れないゲームだったら。

………考えるだけでゾッとする。
音羽おとは 捺袮なつね
深海霙の戦闘不能により多岐朱音の勝利とする。
捺祢がそう宣言するものの氷は消えない。

すると、見ていたユリがさっき投げつけられた氷柱を折って口に入れながら動かない先輩達を見る。
ユリ
あー、完全に死んだわけじゃないから能力は残ったまんまかー
千島ちしま 瑞樹みずき
他人事みたいに言いやがって…!
ユリ
もううるさいな、死んでないだけマシだと思いなよ。
一瞬、ほんの一瞬だけ氷のような冷たい目でユリは俺を見て笑いながらそう言った。


何だ、今の目………


背筋がゾクッとしたところでユリを改めて見るが、ユリはいつも通りニコニコと笑っているだけ。


さっきの目は気のせい、か…?
ユリ
捺祢!氷くらい拳で砕いちゃえ!いけるっしょ?捺祢なら!
音羽おとは 捺袮なつね
まぁ、出来るけど…
ユリ
なら、早く早く!
音羽おとは 捺袮なつね
はいはい…
俺に拒否権はありませんね、と自虐的なことを呟いて先輩達の前に立つと、捺祢は面倒くさそうに構える。
音羽おとは 捺袮なつね
めんどくさ…
バキッ!!!
多岐たき 朱音あかね
おっ
捺祢の溜息混じりの拳は多岐先輩の手首に命中。

ヒビは徐々に広がって、もう1発突くとヒビが全体に伝わり一気に氷は砕けた。
くれ 葉月はづき
凄〜い!!
楠木くすのき しん
あんなので砕けるのかぁ…
千島ちしま 瑞樹みずき
……一霖、さっきから黙ってどうした?
福冨ふくとみ 一霖いちりん
え?あー…うん。
千島ちしま 瑞樹みずき
いや、全く分かんねぇから。
本能寺ほんのうじ 千早ちはや
次が番とかじゃないの?
千島ちしま 瑞樹みずき
そうなのか?
福冨ふくとみ 一霖いちりん
えへへ〜、そうなんだよ〜
危機感のない笑い方で笑う一霖。

近くにいた酒葉さんが私みたいに全敗になったら駄目ですよ!と念を押す。
福冨ふくとみ 一霖いちりん
大丈夫!…………きっと。
四月一日わたぬき 柊也とうや
今、きっとって聞こえた気がします。
福冨ふくとみ 一霖いちりん
まっ、安心して!僕、もっともっと生き残るんだから!
千島ちしま 瑞樹みずき
取り敢えず、負けんなよ。
福冨ふくとみ 一霖いちりん
多分!うん!任せて!
意味不明な言葉を連発すると、一霖は20の紙を持ってフィールドへと駆けて行った。