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第13話

XXの開花 Ⅸ
くれ 葉月はづき
何か…やり過ぎちゃった……?
音羽おとは 捺袮なつね
別にいいんじゃない?勝ってるし。
困った表情を浮かべる呉さんを横目で見ながら、笠木君を担ぐと捺袮はダルそうに外野席に運ぶ。
音羽おとは 捺袮なつね
さっさと次の人、出て来て。
戻って行く捺袮とすれ違うように呉さんが俺達の元に戻って来た。
くれ 葉月はづき
あの〜…私、何してたか分かる?
本能寺ほんのうじ 千早ちはや
一瞬で相手と距離を詰めて、鳩尾に一発キメた。
福冨ふくとみ 一霖いちりん
はい!絆創膏!
くれ 葉月はづき
あ、ありがと。
待ってました、と言わんばかりに一霖がサッと絆創膏を呉さんに差し出していた。


こいつは全く……
楠木くすのき しん
見てた感じだと、身体強化的な?そうじゃないと女子が男子の鳩尾殴って戦闘不能にさせるとか無理じゃね?
千島ちしま 瑞樹みずき
余っ程な怪力じゃない限りは。千早とか意外といけそう。
本能寺ほんのうじ 千早ちはや
試してみる?
千島ちしま 瑞樹みずき
ごめん。
拳を俺の鳩尾に向けて構える千早を見て、俺は慌てて謝る。

本当に千早に殴られるのは痛そうだ。
音羽おとは 捺袮なつね
碑賀ひがあずまはノストラダムス。
音羽おとは 捺袮なつね
東堂とうどうたけるは地面。
深海ふかみ みぞれ
彼は偉人のようですね。
次の試合を始めようと捺袮がヒントを言う。

再びあの辻君と同じチームの人が戦うようだが、国木田先輩で騒ぎまくっていた辻君は全く興味を持っているようには見えない。
碑賀君のチームの人も碑賀君のことにあまり興味が無いのか欠伸をしている。

応援してやれよ…。
それよりノストラダムスと言えば、予言か?
予言なら…まぁ未来予知が1番可能性として高い。

案外、偉人で言われた方が能力の予測が立てやすい気がする。
音羽おとは 捺袮なつね
じゃ…第五試合、碑賀東 対 東堂猛。始め。
捺袮が手を振り下げると同時に東堂君が“地面”へと姿を消した。
福冨ふくとみ 一霖いちりん
あれ?消えちゃった!?
くれ 葉月はづき
まさかの地面の下から攻撃?えー!そんなの防ぎようがないじゃん!
本能寺ほんのうじ 千早ちはや
………熱っ…
一霖と呉さんがそう騒ぐ中、千早が小さく呟く。
酒葉さかば みのり
ど、どうしたんですか?
本能寺ほんのうじ 千早ちはや
いや…何か……よく分からない。
千早が怪訝そうな表情で自分の手を見たり、後ろや椅子の下を覗き込む。
でも、何も無かったのか溜息を零しただけだった。
くれ 葉月はづき
ノストラダムスの人、地面に負けずに頑張ってくださ〜い!
福冨ふくとみ 一霖いちりん
頑張れー!!
千島ちしま 瑞樹みずき
お前らなぁ…
すると、そんなに応援しなくてもいい、と背後から聞こえて俺は振り返った。

一霖と呉さんも俺に釣られて振り返るが、振り返るなり表情が固まる。
福冨ふくとみ 一霖いちりん
あ、あの〜…ご、ごめんなさい!!!
立っていたのは碑賀君のチームの男子。
一霖が大声で謝ったのは多分、見た目だろう。

金髪にピアスしてるからどこからどう見ても、ヤンキーにしか見えない。
本能寺ほんのうじ 千早ちはや
…………瀬戸口せとぐちりゅう、高2。福冨、その人同じ学年の人。
福冨ふくとみ 一霖いちりん
え……本当に?
瀬戸口せとぐち りゅう
そうそう。その子が言う通り高2。別に謝らなくてもいいんだけどなぁ
見た目にそぐわない優しい声色に一霖と呉さんの強ばっていた顔が元に戻る。
楠木くすのき しん
ん?瀬戸口龍っていや…いつしか風の噂で静かそうな奴とそれに反してバリバリヤンキーみたいな奴が空手で毎度優勝準優勝掻っ攫っているって聞いたことがあるな。
楠木くすのき しん
そのバリバリヤンキーって言われてる方が瀬戸口龍じゃなかったっけ?
誰から聞いたのか慎が瀬戸口君の顔を見ながら、思い出すように言う。
その慎の言葉に瀬戸口君は苦笑を浮かべた。
瀬戸口せとぐち りゅう
酷い言われようで…
千島ちしま 瑞樹みずき
瀬戸口君。それよりも応援しなくていいってどういう意味?
瀬戸口せとぐち りゅう
ああ、それは…てか、同学年なんだし瀬戸口とか龍とかそんな感じで呼び捨てでいいよ。
千島ちしま 瑞樹みずき
じゃ、じゃあ…龍で…
ぐっと親指を立てる龍。
見た目だけで全くヤンキーなんかじゃない。
くれ 葉月はづき
良かったぁ…てっきり殺されるかと…
福冨ふくとみ 一霖いちりん
僕、まだ何もしてないし…
くれ 葉月はづき
こんなところで死ぬわけにはね…
福冨ふくとみ 一霖いちりん
うんうん…
俺が龍と話している横でコソコソと2人で会話しているのは見ないことにしておこう。
瀬戸口せとぐち りゅう
で、俺が応援しなくていいって言ったのは……
そこまで言うと、龍は後ろを指す。
指した方向を見ると丁度東堂君が地面から飛び出し碑賀君を討とうとしている時だった。

この何が大丈夫……………って…?

碑賀君が背を向けたまま東堂君の攻撃を避けると、そのまま回し蹴りで東堂君の体を浮かせてから、蹴った勢いを乗せて踵落としを首にキメた。

足が首に当たると同時に骨の折れたのか乾いた音が鳴り響く。
瀬戸口せとぐち りゅう
──── 東は空手全国大会5年連続で優勝する程強いから。
くれ 葉月はづき
わぁ……
音羽おとは 捺袮なつね
……東堂猛の死亡により碑賀東の勝利とする。
捺袮が再び東堂君を担ぐと外野席に運ぶ。

碑賀君は前を歩く捺袮の背をじっと見ながらさっきまでいた席に戻ろうとしたが、龍が俺達のところにいるのを見てこっちにやって来る。
瀬戸口せとぐち りゅう
ナイス、東。
碑賀ひが あずま
ありがと。
四月一日わたぬき 柊也とうや
碑賀先輩のノストラダムスの能力ってやっぱり未来予知なんですか?
四月一日君が碑賀君が来るなり、そう聞く。
碑賀ひが あずま
そうだな、多分未来予知。
意外にも普通に答えてくれて、この人も龍と同じように話しやすい人なのかな、と少し思う。
千島ちしま 瑞樹みずき
さっきの凄かった。龍から聞いたんだけど、空手全国大会5連覇なのか。
碑賀ひが あずま
ああ。小学生の時は毎年同じ奴に負けて準優勝だったんだけど、中学生になってからはそいつがいなくなったから俺が勝ってるって感じ。
瀬戸口せとぐち りゅう
ほんと凄いよな〜。息とか全く切れてなかったし。
碑賀ひが あずま
敵を褒めるんじゃねーよ。
瀬戸口せとぐち りゅう
ごめんごめん。
碑賀君に言われて、龍は申し訳なさそうに笑う。
碑賀ひが あずま
お前、名前は?
千島ちしま 瑞樹みずき
千島瑞樹。
碑賀ひが あずま
瑞樹か。まぁ、仲間になって戦うことがあればよろしく。
瀬戸口せとぐち りゅう
こいつのことあずまでもいいし、いっそひがしでもいいから仲良くしてやって。友達少ないから。
千島ちしま 瑞樹みずき
お、おう…
碑賀ひが あずま
やめろ、余計なお世話だ。
元の席へと逃げた龍をあずまが追いかける。

すっごい平和的な空気だったけど…仲間になって戦うことがあればってことは敵だと俺、さっきの東堂君みたいに瞬殺なのか……

味方につけば百人力、敵につけば終わり。
そんな存在に俺はこの後が少し不安になった。