第8話

XXの為に ⅩⅡ
266
2019/12/15 09:04
呉さんを信じて俺は✕を押す。
最後だったのか押すと同時に扉は開き、俺は呉さんを背負うと廊下へと出た。


すると、酒葉さんが…
酒葉さかば みのり
せ、先輩…!もう普通教室以外って全部行ったんじゃないですか…?
その言葉を聞き、立っている全員は固まった。
福冨ふくとみ 一霖いちりん
あっ…
本能寺ほんのうじ 千早ちはや
……確かに。どうしようか。
楠木くすのき しん
おいおいおい、次が最後っていうのにまさかのこれかよ…
千島ちしま 瑞樹みずき
……。
クソっ…こっちは動きにくいってのに…

何処だ?まだ問題を受けていない教室は。
今までの流れ的に普通教室というのは考えにくい。
一体、何処が…
四月一日わたぬき 柊也とうや
───── 体育館。
千島ちしま 瑞樹みずき
え?
四月一日わたぬき 柊也とうや
はい…彼女は最初にいた部屋…となると彼も最初にいた部屋に問題がある…って可能性が高いと思います……
本能寺ほんのうじ 千早ちはや
体育館は始まる場所だっただけで問題は解いてない。四月一日の意見は合ってる可能性が確かに高い。
深海ふかみ みぞれ
急ぎましょう…。
深海先輩にどんどん疲労が溜まっているように俺には見える。
心の相談室から普段なら3分もあれば辿り着ける体育館に10分くらいかけて歩いた。


体育館の扉には張り紙。

『またまた誰でもいいから開けてね!』
千島ちしま 瑞樹みずき
…一霖、開けてもらっていいか?
福冨ふくとみ 一霖いちりん
もちろん!
本来なら俺が開けに行くが、呉さんを背負っている以上落とすなんてことがあってはいけない。
一霖が張り紙がされている体育館の扉を開くと、壇上から脚を投げて座るユリの姿。

そして、体育館の真ん中で俺達を待っていたのか立っている捺袮の姿があった。

真ん中まで行くと、俺達が揃ったことを確認した捺袮が持っていた紙を読み上げる。
音羽おとは 捺袮なつね
…問題、音羽捺袮はゲームの始まった理由を見ていた。
そう問題を言うと、俺達に見えるように紙を見せて考えが読み取れない目で○か✕か、と付け足す。
音羽おとは 捺袮なつね
まぁ、俺は始まった理由を知ってんのは当たり前だからさ。その原因を見ていたかどうか…ってこと。
音羽おとは 捺袮なつね
俺の意見は○。あとはご自由に。
捺袮が紙を唯一、手が空いていて一番元気そうな一霖に渡したのを見ると壇上のユリがこっちに来た。
ユリ
そっけないけど、捺袮優しいんだよ?本当なら天井に吊るそうとしてたのに最後くらいはって普通にしてくれたんだから!
音羽おとは 捺袮なつね
お前がやり過ぎなだけだろ。アンモニアもどきに石灰粉、技術室とかかなり大変だったし…
思い出すように愚痴愚痴と言う捺袮。


やっぱり、全部こいつかよ…
ユリ
早く考えないと死んじゃうよ?特に柊也君と慎君、霙ちゃん。
千島ちしま 瑞樹みずき
え?
ユリが当たり前のように出した名前の中にまだ症状の出ていなかった慎があり俺は思わず、振り返る。

そこには体力の限界なのか、息が荒い慎が四月一日君を背負ったままその場に座り込んでいた。
千島ちしま 瑞樹みずき
慎……
楠木くすのき しん
あぁ〜…大丈夫、大丈夫…。ちょ〜っと立ちくらみしただけだ…
慎がははっ、と苦笑を浮かべる。

時間が無いことを改めて思い知らされた俺は問題の対象である捺袮を見た。すると…
くれ 葉月はづき
………も、んだい…何…?
耳元から掠れた呉さんの声が聞こえてくる。
千島ちしま 瑞樹みずき
音羽捺袮はゲームの始まった理由を見ていた、だ…
それを聞いた呉さんから静かな笑い声。
スイッチを片手に取ると、もう片方の手で包み込んで俺に見えないように押した。
くれ 葉月はづき
これ、簡単だ…よ……
そう言うと、呉さんはまだ気を失ったのか手からスイッチを落とした。
本能寺ほんのうじ 千早ちはや
ねぇ、千島。早く答えてくれない?私達を殺す気?
千島ちしま 瑞樹みずき
簡単…
千早の言葉に急かされ、呉さんに簡単だと言われ、数秒後に俺が押したのは○だった。
ユリ
はい!全員分の回答が揃いました〜!
音羽おとは 捺袮なつね
初めに今回の問題の○は全部で5個。
福冨ふくとみ 一霖いちりん
え、5個も?
ユリ
あの内容で○が5個なんて凄いね〜?とりま、5問以上正解で解毒剤獲得だからぶっちゃけ全部○か✕を押すでも獲得できるっていう。
酒葉さかば みのり
あの内容で○の人がそんなに…
酒葉さんの言葉に端末を見ながら笑ったユリがさてと…と言葉を繋げる。
ユリ
クリアした人、そして誰とは言わないけど、1番優秀だった人の正解数を発表します!クリアした人は ────

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