無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

第26話

XXの真偽 IV
風を切って吹っ飛ばされる中、私は自分の三半規管を操作して平衡を保っていた。

街を上空から見て地図と照らし合わせていく。
多岐たき 朱音あかね
よっと…
トンっという音と共にどっかの公園に着地。

着地するなり私はイヤホンを片手で押さえながら、もう片方の手でトランシーバーを手に取った。
多岐たき 朱音あかね
こちら、多岐。えっと、今〜…ゆうらぎ公園?に着地した。位置は飛ばされた場所の東南。地図はちゃんとフィールドと同じで嘘はない。
国木田くにきだ 達也たつや
『国木田達也。俺は地図の中央から北に3cmのコンビニの前で着地した。』
多岐たき 朱音あかね
笧三君は?
笧三しがらみ たく
『……閃座せんざマンション前、地図で言うとピークトランビルと毎宝ビルの間。』
閃座マンション、コンビニ……多分、これだよね。

ここから近いのは閃座マンションだけど…ビルとかが多いと敵が潜みやすい気もするな…
地図に指を押し当てながらそんなことを考える。

すると、ザザっと聞こえた後に再び笧三君の声が聞こえてきた。
笧三しがらみ たく
『俺、適当に相手がいそうなところ潰して行くから。すぐに終わる。』
多岐たき 朱音あかね
下手に動いたら敵に居場所がバレるからやめといた方が…
笧三君に忠告をしながらふと顔を上げる。

そして、それと同時に私は自分の目を疑った。
多岐たき 朱音あかね
うっわ、マジで…
笧三しがらみ たく
『国木田、能力で身を守って。手始めに…"周りのビルを壊す"。』
遠くのビルに亀裂が入る。

そして、ビルの上半分が横にズレたと思うとそのまま重力に従って崩れ落ちていった。
これがベクトルの力…めっちゃ強いじゃん……
私に出来ることなんて平衡感覚を奪ったり保つこと。

あとは幻聴を聞えさせることくらい。

笧三君みたいに攻撃なんか到底無理だった。
多岐たき 朱音あかね
戦えても護身術じゃなぁ…
今回は笧三君に任せて、私は街の作りを地図を頼りに調べた方が良い気がする。

後輩に全任せはやっぱり気にはなるけど、生きる為にはそうしなきゃいけないこともある。
相手を撒くくらいにしかならないし…

私に出来ることをやろう。
多岐たき 朱音あかね
よしっ!
気合を入れる声。

私はトランシーバーをしまって立ち上がると公園から出て、走り始めた。





───────────────────────




つじ 林太郎りんたろう
うわぁ!凄い凄い!
辻君が歓喜の声を上げたのは笧三君がビルを半壊にした時だった。
楠木くすのき しん
えげつねぇ…
千島ちしま 瑞樹みずき
チートな能力って勝ち目ないだろ。
瀬戸口せとぐち りゅう
俺達じゃ難しい、ってか?
千島ちしま 瑞樹みずき
そう。
福冨ふくとみ 一霖いちりん
でもさー、ベクトルって力の向きの操作なんだよね?
楠木くすのき しん
みてぇだな。俺が放ったやつ、全部違う方向に飛ばされたし。
福冨ふくとみ 一霖いちりん
それならさ!動かせるのは"物質だけ"ってことになるんじゃない?
確かに。

今のビルだって慎の試合だって動かしたのは物質。

あくまで操作出来るのは"力の向き"。
瀬戸口せとぐち りゅう
捺祢君。一霖の推理、合ってるの?
龍が椅子の背もたれに腕を置いて後ろを見る。

腕を組んで静かに対戦映像を見ていた捺祢が少し間を置いて、スクリーンから龍に視線を移す。
音羽おとは 捺袮なつね
何?
瀬戸口せとぐち りゅう
ベクトルの能力って動かせるのは物質だけなのかどうかって。
音羽おとは 捺袮なつね
……そうだよ。あくまで力の向き、物理的な攻撃じゃなければ有効。お前らは何人かがチート能力だと思っているみたいだけど…
代々木先輩を応援する成瀬さん。

スクリーンに映る東と笧三君。

3人に視線を移してからまた俺達を見る。
音羽おとは 捺袮なつね
チート能力なんて1つもない。
音羽おとは 捺袮なつね
絵が下手だとピカソは無力。知恵がなければノストラダムスも無力。物理的攻撃以外ならベクトルも無力。あいつらはレアな上に使い方が分かってるからチートってお前らが思うわけ。
あまり話さない捺祢がスラスラと言葉を並べる。
音羽おとは 捺袮なつね
さっきの辻林太郎みたいにノーマルでも使い方を考えればレアにだって対抗が可能。要は本人の使い方次第ってこと。
それだけを言うと、捺祢は再び映像を見始めた。
福冨ふくとみ 一霖いちりん
ド正論……
千島ちしま 瑞樹みずき
まぁ、正論だから……
まさにその通り過ぎて俺達は何も言えず、モヤモヤとした気分を誤魔化すようにスクリーンを見た。