無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

第19話

XXの開花 ⅩⅩⅠ
楠木くすのき しん
あ、てか、次俺じゃん。
千島ちしま 瑞樹みずき
頑張れよ。
楠木くすのき しん
勿論だ。
俺達の短い会話が少し面白かったのか、隣に座る一霖が小さく笑う。

理由はあえて聞かなかった、別に聞いてもよかったが戦闘向けの能力ではない一霖にはこの後の試合の対策を考えてほしかった。

このまま降参ばかりしていると死ぬ可能性が出てくる。
深海ふかみ みぞれ
楠木君の相手は初登場の方ですね。
くれ 葉月はづき
応援してくれる人は~…いない感じ?
周りを見て呉さんが呟く。

確かに周りに同じ制服の人はいない。


一人で勝ち上がったのか……?
音羽おとは 捺袮なつね
笧三しがらみたくはウィリアム・ローワン・ハルミトン。
千島ちしま 瑞樹みずき
名前、長っ。
笧三しがらみ たく
……分かった、早く始めてくれ。
音羽おとは 捺袮なつね
第十三試合、楠木慎 対 笧三拓。
音羽おとは 捺袮なつね
始め。
千島ちしま 瑞樹みずき
四月一日君、そのウィリアムなんちゃら…って人知ってる?
四月一日わたぬき 柊也とうや
何となくですけど、一応。ハルミトンはベクトルを発見した人です。力の向きといった方が分かりやすいでしょうか?
千島ちしま 瑞樹みずき
なら、力の向きに関係することとか?
四月一日わたぬき 柊也とうや
おそらく。
ユリ
まぁ、悪いカード引いたね。慎君は。
千島ちしま 瑞樹みずき
…どういうことだよ。
仲間を馬鹿にされた感じがして、俺はユリを睨む。
ユリ
そんな睨まないで?ウィリアム・ローワン・ハルミトンについて軽く説明してあげるから。
どうやらポップコーンがなくなって暇になったらしい。

ポップコーンが入っていた入れ物をクルクルと回しながら、ユリは説明を始めた。
ユリ
彼が発見したベクトルっていうのは、簡潔に言うと“線分の片方に矢印を付けたもの”。矢印の向きが力の働く向き、長さは力の大きさってこと。
千島ちしま 瑞樹みずき
重力とはまた違うのか?
ユリ
重力は引き寄せられる力で大きさは関係ないから違うよ。ちなみに重力はニュートンが発見したって思われがちだけど、厳密には見つけたのは万有引力であって、重力とは違う。
ユリ
ほんと人間って変なこと言うよね~まっ、別にどういわれようが私には関係のないことだからいいんだけどね。
馬鹿っぽく見えていたユリが突然化学的なことを言い出し、俺と四月一日君は呆気に取られる。


こいつ、こういうこと言えたのか……


正直に関心した。
天才だから!しか言えないと思っていたが、本当にこいつは天才の可能性があるかもしれない。
ユリ
分かった?
千島ちしま 瑞樹みずき
あ、ああ…
ユリ
ベクトルは力の向き、血液は物体、ここまで言えば分かる?
千島ちしま 瑞樹みずき
まさか……
四月一日わたぬき 柊也とうや
血液を力の向きで寄せ付けない、と?
ユリ
ピンポーン♪大正解!
そう笑われて俺はスグにフィールドを見た。

まだ慎は倒れていない。

まだ慎は戦っている。

……だが、攻撃は相手に全く当たらない。
もしユリが言っていたことが本当なら…この試合、慎に勝機はあるのか?

…いや、仲間を信じないでどうする。

あの慎だぞ?

難しいことだってきっとやってくれるはず…


何の根拠もない考えに俺は段々とモヤがかかる。

仲間を信じる俺と現実を知る俺。
千島ちしま 瑞樹みずき
仲間ならちゃんと信じてみろよ……
誰にも聞こえない声でそっと俺は呟いていた。