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第53話

XXの時間 IV
次の合格者が出て来たのは呉さんが合格してから10分程経った時。
草鹿くさか 春日はるひ
よしっ…
もう解き終わったのか草鹿君のそんな呟く声がして椅子が動く音がした。
別にそれだけならおかしなことは無いだろう。
問題はその次だ。
本能寺ほんのうじ 千早ちはや
うん。
謎の相槌の言葉と共に千早が立ち上がった。
テストの紙を持っているし、千早ももう解き終わったのだろうか。
今思えば、同じクラスのはずなのに千早が頭良いのかどうか知らねーな…
ユリ
おっー!次の合格者の出現かな?おいでおいで〜!
草鹿くさか 春日はるひ
あ、う ──────
本能寺ほんのうじ 千早ちはや
普通に無理。
千島ちしま 瑞樹みずき
うおっ!!
教室が熱風と光に包まれる。
ヂリヂリと紙の端が熱で焦げ始め、俺は慌てて端を手で叩くように押さえつけて火を消した。
福冨ふくとみ 一霖いちりん
暑い〜…!
千島ちしま 瑞樹みずき
まさか千早の奴…
ユリごと消してテストを無かったことにしたんじゃ…


そう俺が考えたのも束の間、教室に起きた熱風と光は収まり、千早らしいっちゃ千早らしいが人としては最低な光景を目にした。
本能寺ほんのうじ 千早ちはや
あたし、こんな問題解ける程の頭脳持ち合わせてない。問題見た瞬間、無理って察したし。悪いね、草鹿。
テストの紙を持った千早は風に乗って飛んだ草鹿君の答案を取ると、堂々と答えを写し出した。
草鹿君の机は燃えて、草鹿君自体も制服に火がついて焦げる臭いが漂っている。
本能寺ほんのうじ 千早ちはや
気は失ってるかもだけど、まぁ殺してはないから起きてからまた出して。
写し終わった答案用紙を草鹿君の机に置いて、ユリの元へと歩いて行く千早。
千島ちしま 瑞樹みずき
鬼か悪魔だろ…てか、草鹿君は大丈夫なのか?おい、龍…何とかしろよ…
瀬戸口せとぐち りゅう
んなこと言われたって、無理無理…いくら治癒と言っても、火傷は焼けているんだから治すもクソもねー…
確かに傷口はどうにかなったとしても火傷は治癒したところでただ火が消えるだけ。
火が消えてその先がどうなるかは千早と一戦を交えた東の腕が語っている。
瀬戸口せとぐち りゅう
さっさと目覚めることを祈るのみだ…
千島ちしま 瑞樹みずき
……。
ユリ
は〜い、千早ちゃんも合格〜!てか、そんなに難しかった?
本能寺ほんのうじ 千早ちはや
人によって難しいの基準が違うから。他の奴らは知らないけど、あたしは無理。
“無理”とハッキリとした口調でユリに告げると、千早は教室の外へと出て行った。
難しいと言われたユリは模範解答の紙を見ながら、う〜ん…難しいのかぁ…これでもかなり簡単にしたんだけどなぁ…と一人で呟き始める。

千早、みんなが思っているであろうことをよく言ったとか思ったりするが、やはり俺は自分のテストよりも草鹿君のことが気になった。
火だるまにはなっていないけど、ブレザーが燃えているし、その横の机も燃えている。
火が移ったら普通に危ない。
殺さないだけ千早なりに手加減はしたんだろうけど…
千島ちしま 瑞樹みずき
やっぱ変だよな…
生きる為にはしょうがないのか?
でも、考えれば出来るって捺祢は言ってたし…
複雑な感情が渦巻く。
さっきの千早の行動が正しいのかを考えていると、ふと左の方から刺さるような視線を感じた。
窓の外から千早が見ているのか?と非現実的なことを考えながら首を動かすと、そこには俺を冷たい目で見る捺祢。
音羽おとは 捺袮なつね
……。
無言の捺祢は俺を見た後に教室の壁へと視線を送る。
捺祢の視線に釣られて壁を見ると、千早がいなくなってからもう5分が経っていた。


何だ、あいつ…俺が考え事して時間が進んでいることを教えてくれたのか?


もう一度捺祢を見てみるも、捺祢は持っていた本を読んで俺と目が合うことはなかった。
…無表情で冷淡な印象だった捺祢だが、意外と良い奴なのかもしれない。
瀬戸口せとぐち りゅう
おっしゃ、やっと終わった。
千島ちしま 瑞樹みずき
は?
俺はその言葉に隣で立ち上がった龍を見上げる。
瀬戸口せとぐち りゅう
んじゃ、頑張って解けよ?お前らが死んだら俺と話してくれる奴がいなくなっちまうからな!
良い笑顔で言い残した龍は俺と後ろに座る東に手を振って、ユリのところへ行ってしまった。
瀬戸口せとぐち りゅう
どう?合ってる?
ユリ
えっと〜?……うんうん、正解!龍君、合格で〜す!龍君はこれ難しかった?
瀬戸口せとぐち りゅう
ん、いやー、別にそんな悩み込むまでじゃなかった。式を何個も立てなきゃいけないから時間はかかったけどな。
ユリ
難しいか簡単か!
瀬戸口せとぐち りゅう
……簡単?
この問題が簡単、だと…!?
あいつの頭の中はどうなってんだよ…!!
ユリ
確か、龍君って学年の中でも成績優秀だったっけ?
瀬戸口せとぐち りゅう
まー、校内では。でも、ほら、校内で一番だとしても世間にはもっと凄い奴いるっしょ?実際にユリちゃん、学校行ってなかったとしてもこの問題作るとかめっちゃ頭いいじゃん?
ユリ
わっ、嬉しい〜!捺祢なんか、全く褒めてくれないのに!
瀬戸口せとぐち りゅう
それはどんまいどんまい!じゃ!
ユリ
お疲れ様〜!
千島ちしま 瑞樹みずき
………おい、東。あいつ、何だよ。
俺のいろんな意味の詰まった言葉。
龍の後ろ、俺の右斜め後ろの方から返ってきた返事は予想通りのものだった。
碑賀ひが あずま
見た目以外は女子からの好感度が高い要素だけで構成された奴だろうな…