澄んだ空が綺麗〜…なんて、変なことを思いながら私は頭を押さえて涙目で上体を起こす。
辻君は笑うのを必死に堪えているようだが、私から見たらもう普通に笑っている。
長い激闘の末、負けた私。
…血でぬかるんだ地面に足を滑らせて盛大に転んでブランコの柵に頭を強打したのが敗北理由だった。
とにかくもう凄い痛い、痛い以外に何も無い。
ずっと戦ってたからただでさえ疲れてたのにそこにあんなことが起きたらもう試合なんてしたくない。
そう言うと、ユリちゃんは選手入れ替えの為に指パッチンをしようと指を合わせる。
ユリちゃんは自慢げにそう言う。
そしてチッという音と共に私は競技場に戻った。
ユリちゃん、確かに鳴ってはいたけどさ?
あの音って………“舌打ち”だよね?
答えを求めるように私は龍君に返事をしながらスクリーンを見る。
すると、最初の地点に立っていたユリちゃんはカメラ越しに私を見て笑いながら人差し指を立てて口元に当てていた…
………凄い不安なんだけど大丈夫なのかな、これ。
僕達が反論する暇もなく試合はスタート。
体が浮いて四方八方に飛ばされていく。
そして、飛ばされながらも僕は何回も何回も同じことを心の中で思った。
このメンバー、凄い不安なんだけど……
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。