第25話
XXの真偽 Ⅱ
パッと景色が変わるとそこは街の大きな交差点。
辺りを見回すが、さっきの競技場も学校もない。
いつも通りに捺祢が俺達にプリントを配る。
何となく予想はしてたけど…
そうユリは笑いながら顔に付着していた脱落者の血を手の甲で拭っていた。
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第2ゲーム『団体戦』
・抽選で決めたチームで戦う
・降参有り
・相手チームが全員死亡、戦闘不能、または降参
で勝利
・相手チームに寝返ることも可能
・1チーム2回ずつ戦う
・フィールドはビルの多い街中
・外野は競技場にて観戦
・勿論、外部からのコーチングは禁止
・活躍が1番なかったチームの中で戦い、2名死亡
【各チーム1回に限り、ユリか捺祢のどちらかをチームの1人と交代させて出場させることが出来る】
第一試合、C 対 F
第二試合、A 対 D
第三試合、B 対 E
第四試合、A 対 C
第五試合、E 対 F
第六試合、B 対 D
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一霖、そのことに気付いてたのか…。
2人の言う通り今回はさっきの個人戦よりも分かりやすく、そして同時にルールが増えてる。
捺祢の言葉に誰も反対の言葉を発さない。
そりゃ、そうだ。
こいつらのせいで俺達は命をかけているのに、そんな奴らに助けられるなんて誰もが嫌がるに決まってる。
ふいに無口な笧三がそう口を開く。
捺祢がユリから袋を受け取って、端の人から順に紙を引かせていく。
それを近くの人に見せては残念そうにする姿は何処か学校のクラス替えの時と重なる。
捺祢に催促されて引いたのは"D"。
全員が引き終わると、今度はユリが早く早くと捺祢に何かを催促した。
パチンっ!と良い音が鳴ると、俺達はさっきまでいた競技場の観客席に座っていた。
いつの間にか湧いてた辻君が俺の隣に座る。
そして、俺の手に持っていた紙を見るなりニッと感情が読めない笑みを浮かべた。
マジかよ……
辻君がニコニコとしながら見せてきたのはDと書かれた俺と同じ紙。
溜息をつきそうになるのを我慢していると、一霖の声が背後から聞こえた。
辻君が1つ席をズレて、空いた席に一霖が座る。
俺が呆れた笑いを漏らしたところで宙にフィールドである街の様子が映し出された。
見えてる?とユリが手を振り、これから戦うCとFの人達を映す。
観客席を見回すとあの騒がしいユリとは違い、捺祢は静かに席に着いて映像を見ていた。
少し眠そうだが、うるさいよりはマシ。
ドラゴン先輩…じゃなくて、代々木先輩の腕の中には成瀬さんが描いたドラゴンのぬいぐるみ。
さっきはフィールド全体が燃え上がって、とんでもないことになってたけど…
そんなことを思っているとユリの進行はどんどん進んでもう始まる前になっていた。
それではよーい!と言うと、6人の体が宙に浮く。
呉さんの驚きの声に溜息を零す捺祢。
ユリはこっち側が騒いでることも知らずにさっきの捺祢のように手を振りかざす。
始め、という声と同時に6人はバラバラの方向に飛ばされたのだった…。