治𝓈𝒾𝒹𝑒.°
一緒におるだけで胸躍るし、1つ1つの言葉にいちいち一喜一憂しては飛び跳ねて。
こんな好きになった女、初めてや。
たかが17年間しか生きてへん俺やけど、確信持って言えんねん。
後にも先にも、あなた以上の女……出会うはずもないんや。
ライバルはまぁ、信じられん程多いけど。
一度きりの人生で出会えるかも分からんこんな存在……簡単に諦める訳ない。
あなた「_____ぉさむ、?……治ってば、ねぇ……、冷めちゃうよ?」
せや……こんな風に俺を呼ぶその声が、表情が、その全部が。
愛し過ぎて堪らんのや。
治「…………あなた……、好きやで、」
あなた「__________〜ッ、」
せや……おかしいな。
なんであなたが家におるんや?
自分に都合ええ夢ばっか見過ぎやろ……ほんま、
せやけど今は……今だけは、
あなた「ぅわっ、!?ちょ、治_______、!?」
治「んぅ……あなたの匂いや、」
ほんまええ匂い……首元が1番匂うんや。
前襲いかけた時を思い出すな……。
あん時はツムもおったし途中やめやけど……どーせ夢ん中やし、
治「ん……あなた、」
あなた「ちょ_____なんで顔近付けて……ッ、!治、!!」
ボゴォッゥ!!!!
あなた 𝓈𝒾𝒹𝑒.°
あなた「ったく……寝ぼけ過ぎ!!!」
危うくキスされるところだった。
思いっきり入った私の拳。
お腹を抱えてソファーで踞る治に少し、ほんの少しだけ罪悪感を覚えつつ、距離を取った。
ぐっすりだったな……。
料理している間寝ていていいとは言ったけど、こんなに熟睡するだなんて。
よっぽど寝付けなかったんだろう。
その理由を思い出して熱くなる頬をなんとか誤魔化し、キッチンに戻った。
グラスにお茶を注ぎ終わる頃には復活した治が食卓に食いついていて、切り替えの速さに笑ってしまった。
治「相変わらず美味そうやな……ッ!!天才シェフあなた様ぁ!」
あなた「言ってろ言ってろ。さっきの事水に流すなんてしないからね?」
治「う"……せやかて、寝ぼけとったもんはしゃあないわ!夢の中やと思っててん。」
あなた「夢の中でならあんな風に襲う訳……?」
治「当たり前やろ何回夢ん中で自分の事襲ったと思てんねん!!」
あなた「色々とおかしいんだよその発言!!」
まったく……。
ひとつ、グゥゥと盛大に鳴った治のお腹。
とりあえずご飯にしようと、私も食卓についた。
あなた「冷蔵庫の勝手に使っちゃったけど……大丈夫かな、」
治「ええんや!!今日おかん買い出し行く言うてたから!」
あなた「分かった分かった、そんなギラギラ目で見なくても……食べていいよ。」
"待て"を解除された犬の様に嬉しそうに食事にありつく治。
私もとりあえずスープから口にして、自身の料理の腕の上達に感心しておいた。
あなた「ねぇ……一応私、4人分くらいのつもりで作ったんだけど?」
治「んぁ、?もご、もごごごっ、!」
あなた「うん、美味しいって言ってくれるのは嬉しいんだけど。」
治「んごごごっ、むもごごっ!もぐもご!」
あなた「え?侑がそろそろ帰ってくるから取られない様に全部……って、」
ん??
誰がそろそろ帰ってくるって?
ガチャッ、
侑「??なんやサム、もう帰って__________こん靴はあなたのやあああああ!」
ドタタタタタッ!!!と盛大な足音と共にリビングに入ってきた侑。
ユニバで一回履いてただけの靴よく覚えてたな……。
私と目を合わせて、その後私の向かい座っている治に目をやって叫ぶ。
侑「サムばっかズルいわぁ!!!!!!俺の飯はああああああああ!!?」
治「んもご……、ッうっさいわ!!俺とあなたのデートの邪魔すんなや!!」
あなた「速攻喧嘩始めないでもらっていい!?」
宮兄弟とのデートは……一筋縄ではいかないみたい。
この後、次の目的地に移動するという私の言葉をなかなか聞き入れてくれない2人をなんとか振り払って(駅まで着いてきた)次に進んだ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!