第252話

‥保証‥
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2020/04/23 08:57
【着信中:西谷先輩】




侑「次あなたやで……って、電話か」


治「出ぇや」




金曜日の夜、夜間バレーがお休みで時間があったので3人でトランプをしていると震えた携帯の画面を、思わず二度見した。




西谷先輩……!?




あなた「っ、はいもしゅ……もしもし!」



侑「ブックク……」


治「もしゅ……ふっ、」



笑ってやがる……。


ムカついたので2人に背を向けて、向こうの返答を待った。




西谷<あー……>


あなた「ど、どうかしましたか?」



困ったように唸る西谷先輩。


尋ねると、「ごめん」と謝られた。




西谷<特に用はないんだけどさ……>


あなた「……?」


西谷<元気かなって!>



例え元気じゃなくても貴方のお陰で元気100%です。



なんて言えるはずもなく。



あなた「元気ですよ~。先輩は?」


西谷<よかった!俺もいつも通り元気!>



電話越しでも分かるくらいのいつもの元気の良さに、思わず顔が緩む。



あなた「そっちの皆は、元気ですか?」


西谷<おう!皆張り切ってるぜ!!影山は……ちょっと元気ないけどな>


あなた「あは…………帰ったら甘やかしときますっ」




ズシッ




侑「なぁ~電話誰ぇ?はよ7並べしようやぁ」


あなた「ちょっ……!」




背中に乗り掛かって、私の目の前に伸ばした手でトランプをシャッフルしている。




西谷<……男?>


あなた「あっ、や……あの、こっちでお世話になってるお家の方で……」



治「あなた次負けたら服もう一枚脱ぐんやで」




西谷<服っ……!?"もう"1枚……!?>


あなた「1枚も脱いでませんし脱ぎませんからっ!もう2人とも、余計なこと言わんといて!!」




侑「(出た……あなたのお怒り関西弁……)」




西谷<……気を付けろよ>


あなた「??…………はいっ、宮城と治安はたいして変わらないので……」


西谷<そういうことじゃなくて!……もう>



はぁ、とため息を疲れて、とりあえず謝っておいた。



なんでそんな呆れてるの……?




ヒョイッ



あなた「わっ、ちょっと!」



治さんに携帯をとられ、取り替えそうと手を伸ばすけど侑さんが邪魔で取れない。




治「……」



治さんは黙ったまま、携帯を操作してスピーカーにした。



西谷<気を付けろっていうのは……もう、とりあえず10時以降は誰とも会うなよ?……あなた??>


あなた「っ、はい!!!」



また10時……?


もう、皆して私を子供扱いして……。



携帯に届くように声を張って答えた。




治「保証しかねるわぁ。ほなな」


西谷<はっ、ちょ……おi_____>




ブチッ




あなた「ちょ、何勝手に切ってんの!?」



侑「おぉ~し。10時半まで7並べやぁ」



あなた「話聞いてた!!?」




やっと解放されたと同時に、携帯を返却された。



全く……。



侑さんがトランプを配っていって、ため息をつきながらそれを見る。



治「ため口、大分慣れたな」


あなた「ため口にしてからほとんど怒ってる気がするんだけど……」


侑「あなたが短気なんやな」


あなた「侑さんがお子ちゃまだからですぅ~」



昨日の夜間バレーで、一緒に住んでるわけだしため口でええよと言われてなんとかため口に変更できた。



ただ、呼び方はやっぱり定着してて……。




侑「やから、呼び捨てでええっちゅーに」


あなた「もう馴れちゃったんだもん……」


治「努力しぃや。なんなら「サム」でええで」


侑「ほなら俺は「ツム」なぁ」


あなた「余計無理だわ……」





それから7並べ、ババ抜き、大富豪、スピード選手権やらなんやらして、修学旅行の夜気分で遊び通した。




侑「あ~、さっきの電話ん奴がよぉた10時過ぎとるで」


治「せやけどなんで10時なん?…………あなた?」

















あなた「……_______スー……スー…………」

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