第602話

大会の朝の匂い
21,116
2021/08/11 12:00
1月6日 大会2日目。



朝はとても早起きだった。


自分で思っていたよりも慣れない環境、大会1日目の雰囲気に疲れていたようで、昨日は眠りについた記憶すらない。


気が付いたら仁花ちゃんの隣で目が覚めた。





ひとまず、2日目の準備を一通り済ませてバスに乗り込んだ。






「烏野ォーファイっ!」


「「「オ"イ!!」」」


「ファイッ」 


「「「オ"エ"ーイッ!」」」





朝7時過ぎ。


体育館の周りでアップする皆の姿を段差に座って眺める。





……よし、調子は良さそう。






あなた「仁花ちゃん、私お手洗い行ってくるね。」


谷地「分かった!」






スゥ..と、真冬の冷たい空気を吸ってみた。




試合前のこの、なんとも言えないが好きだ。



目を瞑ると、後方から烏野の皆の掛け声が聞こえてくる。



1人1人の声に耳を傾けてから、軽く自身の頬を叩いた。








___________大丈夫。








勝つとか、負けるとか。





そういう不安とかじゃなくて、だって今日の相手は……。




グイッ





あなた「!!!?」





トイレに入ろうとした所で、反対側から手首を引っ張られて足がよろける。



倒れ込むようにその手の主の胸元に顔が埋まって、驚いて上げようとした顔は大きな手によって押さえつけられた。






あなた「〜、?〜〜っ、!」


?「シィ…………。」





暴れる私を宥めるように後頭部を撫で、小さく黙るように合図してきた。







__________この匂い、知ってる。










「あれ〜?さっき絶対こっち居たのに!」


「やっぱり見間違いじゃない?」


「何の為に私たち早く来たのよ〜!」


「絶対近くにぃるはずなのにー_______、」


「………っ!………〜!」








壁の向こう側から聞こえてくる、若い女の子たちの声。











?「_______行った、みたいやな。」


あなた「〜っ、ぷはッ!!」


?「っ、すまん……!!」






ふっと緩んだ手から逃れようと、一気に頭を押し上げた。



同時に、気怠げな目が私を見捉える。


























治「苦しかったか……?」

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