第155話

‥お泊まり‥
46,571
2020/03/29 05:19
ガシャンッ



岩泉「……え?」

及川「……!?」

あなた「はい?」

松川「……そうなの?」


花巻「ははっお前ら反応面白いな!」


徹くんが手から落っことしたWiiリモコンを拾い上げながら花巻くんはこっちを見て笑った。


あなた「え、泊まらないよ?明日学校だし」


岩泉「そうだ!あなたは荷物持ってきてないんだぞ」


花巻「制服も着替えも全部俺の部屋にあるよ」



……なんてこった。



及川「なっ、なんでマッキーがあなたの服とか持ってるの!?」




それな!?



花巻「誘拐する前に家に寄ったらお母さんが用意してくれたぞ」


……お母さんめ。


あなた「じゃあ荷物持って帰るよ!部屋どこ!」


流石にこのメンバーでお泊まりとか寝れる気がしないし無理矢理にでも帰ろうと思ったけど、あの花巻くんがすんなりと部屋の場所を教えてくれるはずもなく青城3年メンバーとのお泊まり会が始まろうとしていた。




なぜか徹くんとお兄ちゃんの強い意思でお風呂を一番乗りさせてもらい、(なんか10時までには寝ろって言われた。お泊まり会の意味なくない?)上がってすぐにお兄ちゃんがお風呂へ向かった。


岩泉「お前らあなたに変なことすんじゃねぇぞ!?」

及川「岩ちゃんはもうちょっと俺らのコト信用してよねっ」

花巻「ほどほどにいじめとくわ~」

松川「(ジーッ……)」

岩泉「クソ川お前が一番信用ならねぇ!花巻はいじめるなよ!?あと松川お前風呂上がりのあなたを眺めるな!!」



凄い言い残してお風呂に駆けていったお兄ちゃんを見送り、ドライヤーを手に取った。


スッ


あなた「……?どうしたの花巻くん」


急に真面目な顔で手を上げるので首をかしげると、手を降ろさずに言った。


花巻「俺が乾かしたいです」

あなた「……え?」


人生で初めて言われた台詞に戸惑っていると、徹くんが焦ったように花巻くんの上がったままの手を掴んだ。


及川「あなたっ、俺!俺が乾かすから!」

花巻「おい俺が考え付いたんだぞ邪魔すんな!」

あなた「え、やだ自分で乾かす」

松川「……あなた、こっちおいで?」


取っ組み合いの中心で途方にくれていると、ソファーにあぐらをかいている松川くんに呼ばれた。

とりあえず避難しようと隣に座ると、ドライヤーを盗られる。


あなた「っ?」

松川「乾かしてあげる」


ニコッと笑う松川くん。


……話聞いてた?


もういいや。


あなた「ん、じゃあよろしく~」


背を向けると、すぐに花巻くんと徹くんが走ってきた。


及川「だめっ!!まっつんはいちばんだめ!」

花巻「お前食われちまうぞ!?」


食われるって……鬼じゃあるまいし。


わいわい言ってから、徹くんがポンッと手を叩いた。



及川「じゃんけんで決めよう!!」



いかにも名案だという風に胸を張る徹くんだけど、もう自分で乾かした方が早くない?



ドライヤーを没収され、仕方なくタオルドライをしながらじゃんけんの行く末を見守ることにした。





及川「いくよっ!!じゃーんけーーん___」

プリ小説オーディオドラマ