第102話

‥激励‥
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2020/03/23 06:23
清水「あなたちゃん、ちょっとお願いがあるんだけど……」


体育館で皆が月刊バリボーを読んで騒がしくしている中、清水先輩が改まって話しかけてきた。



あなた「はいっ。なんなりと!」



内容は聞かぬままOKした私は、もうすっかり清水先輩の美しさの虜みたい。




清水「これなんだけど……」


更衣室に行って見せられたのは、ほこりを被った布のようなものだった。


あなた「……?これって……」


ほこりをばらまかないように気を配りながら広げると、真っ黒の布地に「飛べ」と書かれている。

あなた「横断幕だ!」

清水「うん。これ綺麗にしたいんだ。手伝ってもらえる?」

あなた「勿論です!……あの、そしたら私も少し、お願いが…………」






インターハイ予選前日。


烏養「今日は早く帰ってよく休めよ~」

「「はい!」」


武田「あ、ちょっと待って!もう1ついいかな?マネージャーから」

武田先生が止めて、アイコンタクトを交わした。

あなた「えっと、まずは…………」


後ろに持っていた紙袋を胸の前で抱えると、皆が食い付いたのが分かった。


1つ1つ取り出して、手渡していく。


澤村「っ!お守り……」

田中「おおおお!!!あなたちゃんが作ったのか!?」

あなた「清水先輩と2人で作りましたっ」


言うと、明らかに西谷先輩の喜んだ気配がした。


こうなるのは、よく分かっていた。

西谷先輩の好きな人は清水先輩だから。

でも、こうして喜んでくれるならそれでもいいかなと思ったんだ。


今はまだ、それでもいい。

いつかきっと私の方を向いてもらえれば__。



その後横断幕を皆にお披露目して、再度泣いて喜ぶ西谷先輩を見て、また少しだけ胸が痛くなった。




インターハイ予選当日。


仙台市体育館に入って皆で歩いていると、真っ黒のジャージのせいか視線を向けられた。


?「おい、なんか高校生に見えないやつ混じってね?」

旭先輩が方をビクッと震わせたのが分かった。

言いたい放題言われてすごい落ち込んでる。

メンタル弱めだよね……。


?「ねぇ、キミ~」






西谷𝓈𝒾𝒹𝑒.°



西谷「今日も頑張れる!」


潔子さんに絡みやがったやつらを成敗した後叩かれてめっちゃ嬉しい。


菅原「まったく……って、あれ?あなたどこ行った?」

西谷「え?」


さっきまで後ろをついてきていたのに、いつの間にか居なくなっている。


影山「あなた……あなた!!?」


もの凄い取り乱しようの影山は置いておいて……いない。


迷子か?そんな子じゃないはずなんだけどな……。









なんか、嫌な予感がする。

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